ノコギリヤシの安全性は非常に高いと考えられる。また、医薬品との相互作用に基づく有害事象も報告はないそうだ。それなら、非常に使いやすいハーブだと言えるだろう。

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http://www.dhcblog.com/kamohara/archive/1163

今月の薬理学の専門ジャーナルに,ノコギリヤシの有害事象に関する系統的レビューが,英国のグループから報告されていました。(Drug Saf. 2009;32(8):637-47.)

ノコギリヤシ(英名ソー・パルメットsaw palmetto,学名Serenoa repens)は,前立腺肥大症の予防や症状改善に広く利用されているハーブです。
これまでに多くの臨床試験によって,有効性が示されており,高い許容性も示唆されています。

さて,今回の論文では,許容性/安全性に関する系統的レビューが行われました。
具体的には,2008年2月までの時点で,5種類のデータベース,ハーバリストの4組織などから情報が収集されています。

有害事象は,ノコギリヤシを単独投与したヒト臨床データのみを対象に検討が行われました。
(基礎研究データに基づいて,理論上の有害事象の可能性が議論され,的確ではない情報が独り歩きすることがあることから,この点は評価できると思います。)

40報の論文(26報のランダム化比較試験,4報の非ランダム化対照試験,6報の非対照試験,4報の症例報告)が対象となり,検証されました。
その結果,ノコギリヤシの摂取に伴う有害事象は,軽度であり,偽薬摂取と同程度であることが見出されたということです。

最もよく認められた有害事象は,腹痛,下痢,悪心,疲労感,頭痛などです。(なお,有害事象ですので,因果関係は問わないあらゆる症状が含まれます。)
重症な症状を報告したケースレポートでは,因果関係は否定的でした。また,医薬品との相互作用に基づく有害事象は報告されていません。

以上の結果から,現時点で利用可能なデータに基づくと,ほとんどの利用者にとってノコギリヤシの許容性は高く(=安全性は高く),重大な有害事象・副作用は認められていないといえるでしょう。
(因果関係を問わない)有害事象の大多数は,軽症であり,可逆的であることが示されています。

今回の系統的レビューからも,一般に,ノコギリヤシの安全性は非常に高いと考えられます。
ただし,個人の体質によっては,アレルギーや過敏症による症状を生じえますので,体調不良を感じたら中止して様子をみましょう。
また,ノコギリヤシの適正使用のためには,今後も有害事象に関する情報収集が必要です。