ブロッコリーの成分が乳癌幹細胞を抑制、ミシガン大学の研究で発見

癌幹細胞を抑制する天然物質についてはNCI(アメリカ国立癌研究所)の研究で、レズベラトロール、ケルセチン、発酵大豆、インドール3、オメガ3油などがあることは良く知られている。

このミシガン大学ではその追試験をおこなっているのだと思われる。または in vitro の実験がおわり in vivo での実験が始まったというべきだろうか。

いずれにしてもCTC検査をおこなっているgenostic社の検査にもこれらの天然物質の抗癌検査は含まれており、個人個人感受性に違いが有るが効果が期待できることは明らかである。

 

これらのサプリメントを摂取している私の患者に、

「そんなものを使用するならあなたはこの病院では治療できない」

と怒鳴る医師がいると聞いて驚いたが、日本人医師の中ではこの手の情報はいくら教えても聞こえないらしい。

 

情報を目で見ても、耳で聞いても理解できないのだが、彼らに唯一あっという間に理解させる方法がある。それはこの一言だ。

「先生以外の皆さんはもうそれを使っていますよ。」(日本人医師をからかったアメリカンジョーク)

 

こんな根拠の無い情報で治療をおこなっているとしたら困ったものだ。

しかし、日本のがん治療はあくまで統計に基づいた抗がん剤の選択であるから、似たようなものかもしれません。

***************************************

2010年6月3日

マウスと細胞を用いた研究で予防や治療戦略の可能性を示唆
ミシガン大学総合がんセンター
201053

ミシガン大学総合がんセンターの研究者らの新たな研究によれば、ブロッコリー由来の化合物は、癌幹細胞(腫瘍の増殖を促進させる少数の細胞)を標的にすることで、乳癌の予防や治療に役立つ可能性がある。
本研究では、ブロッコリーとブロッコリースプラウトの一成分であるスルフォラファンをマウスと培養細胞の両方で調べた。スルフォラファンは癌幹細胞を標的にして死滅させ、新たな腫瘍の増殖を妨げることがわかった。

「スルフォラファンは、癌に対するその効果についてこれまでも研究されていますが、今回の研究はスルフォラファンがもたらす利益は乳癌幹細胞の抑制効果にあるということを示しています。この新知見は、重要な癌幹細胞を標的にすることで、スルフォラファンやブロッコリー抽出物が癌の予防、治療に用いられる可能性を示唆しています」と本研究の著者Duxin Sun博士(ミシガン大学薬学部准教授・ミシガン大学総合がんセンター研究員)は述べている。

本研究の結果はClinical Cancer Research誌5月1日号に掲載されている。

現在の化学療法は癌幹細胞には効果がなく、それが癌の再発、転移の理由となっている。癌幹細胞を除去することが癌をコントロールするカギになると研究者らは考えている。

今回の研究では、乳癌マウスを用い、ブロッコリー抽出物から得られたさまざまな濃度のスルフォラファンを注射した。次に、腫瘍中の癌幹細胞の数を確立した数種類の方法を用いて調べた。こうした測定値によって、スルフォラファン治療の後には癌幹細胞集団の著しい減少が示され、一方で正常細胞にはほとんど影響がなかった。さらに、スルフォラファンで治療したマウスの癌細胞は新たな腫瘍を発生させることができなかった。次に、実験室でヒト乳癌培養細胞に対するスルフォラファンの効果を調べたところ、同様に癌幹細胞が減少することがわかった。

「この研究は、他の化合物と併用できる新治療法で乳癌幹細胞を標的とする可能性を示唆しています。癌幹細胞集団を効果的に標的とする治療法を開発することは、転帰の改善には欠かせません」とMax S. Wicha医師(ミシガン大学総合がんセンター腫瘍学特別教授・所長)は述べている。

研究で用いられたスルフォラファンの濃度は、ブロッコリーやブロッコリースプラウトを食べることで得られる濃度より高かった。これまでの研究で、癌に影響を与えるのに必要な濃度を体はブロッコリー抽出物から吸収できると示唆されているが、副作用についてはわかっていない。ブロッコリー抽出物はサプリメントとしてカプセルの形で利用できるが、濃度は規制がなく、さまざまである。

この研究は患者対象の試験ではなく、今のところ患者にはスルフォラファンサプリメントを食生活に加えることは勧められない。

現在、スルフォラファンを抽出、保存する方法を開発中であり、スルフォラファンを乳癌の予防および治療に用いる臨床試験を計画中である。現時点では、臨床試験は行われていない。

乳癌に関する統計
米国癌協会によれば、今年乳癌と診断される米国人は194,280人、乳癌で死亡するのは40,610人としている。

他の共著者は以下の通りである。
Yanyan Li, Tao Zhang, Hasan Korkaya, Suling Liu, Hsiu-Fang Lee, Bryan Newman, Yanke Yu, Shawn G. Clouthier and Steven J. Schwartz

以下の組織から資金提供を受けた。
米国国立衛生研究所、米国国立癌研究所

参照資料
Clinical Cancer Research, Vol. 16, No. 9; 2010 年5月1日

******
鈴木久美子 訳