CoQ10による抗加齢効果

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今月の加齢医学研究の専門ジャーナル(電子版)に、CoQ10(コエンザイムQ10)による抗加齢作用を示した基礎研究が、米国のグループから報告されていました。
(Age (Dordr). 2012 Nov 10.)

コエンザイムQ10は、①抗酸化作用、②ATP(エネルギー源)産生作用を介して健康保持や疾病予防に働きます。もともと体内で合成される成分ですが、生活習慣病や加齢によって減少するため、抗加齢分野で広く利用されているサプリメントです。

さて、今回の研究では、加齢に伴う神経変性に対して、コエンザイムQ10の作用が検証されました。
具体的には、年齢層の異なるマウス(若年層3.5月齢、高齢層17.5月齢)を用いて、対照食投与群、
CoQ10投与群(低用量;0.72 mg/g、あるいは高用量;2.81 mg/g)の各群について
15週間の介入試験が行われました。

迷路試験による空間認識、自発運動活動、運動強調性、認知機能などの指標が比較検討されました。
解析の結果、対照食および低用量CoQ10食投与群の高齢マウス群では、認知機能への影響は見出されませんでした。高用量CoQ10投与の高齢マウス群では、迷路試験において、対照食投与群よりも有意に効率的でした。

タンパク質の酸化障害(心臓、肝臓、骨格筋のミトコンドリア)は、高用量CoQ10投与群において有意な低下が示されています。(脳組織のミトコンドリアでも低下傾向が見出されました。)

以上のデータから、比較的高用量CoQ10の長期間投与によって、加齢に伴う認知機能の変化や酸化障害の抑制作用が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。

コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)

コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。したがって、一般的には、生活習慣病の予防や抗加齢目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。

一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。