前立腺がんは診断が難しく、かつ診断経過での細胞検査がQOLを下げることで有名である。予後が変わらないのならば余計な検査はしないほうがいいのは言うまでもないだろう。
同様に、治療も体に副作用が出ないほうが言いに決まっている。これらの新しい検査で副作用なく診断がつくことが大切だし、その後IPTのように副作用が少なく効果的な治療をするべきだろう。 

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http://www.cancerit.jp/17980.html

2012/07/10号◆FDA情報「FDAがPSA検査後の生検実施の意思決定を補助する検査を認可」

2012年7月17日

同号原文

NCI Cancer Bulletin2012年7月10日号(Volume 9 / Number 14)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇ FDA情報 ◇◆◇

FDAがPSA検査後の生検実施の意思決定を補助する検査を認可

米国食品医薬品局(FDA)は前立腺特異抗原(PSA)検査値上昇のみられる男性が、前立腺癌診断のための生検を受けるかどうかの意思決定を行うのに役立つ検査を認可した。

Access Hybritech p2PSA検査は、PSA検査値が4~10 ng/mLではあるが直腸指診では癌の徴候がみられない50歳以上の男性での使用に対して承認を受けた。

PSA検査値4~10 ng/mLで、医師はしばしば前立腺の生検を勧める。しかし、この範囲のPSA値では生検で癌が見つからないか、癌が発見されても健康に害を及ぼさないと考えられることが多い。そして生検そのものは、生命に危険を及ぼす感染症リスクも含めた危険をはらんでいる。

Access Hybritech p2PSA検査では、血中の[-2]proPSAと呼ばれるPSAを測定する。検査結果をPSA値と遊離PSA測定値と合わせ、前立腺健康指標(phi)を算出する。

FDAの認可は、ほぼ半数が前立腺癌である男性約660人を対象とした臨床試験の結果に基づいている。この試験において、良性か前立腺癌かを区別する能力はPSA値よりもphi値のほうが勝っていた。さらに、生検により前立腺癌を検出できる可能性が、phi値の上昇に従い増加することがわかった。

しかしこの試験はphi検査が前立腺癌による死亡リスクを低下させるかどうかを明らかにするために設計されたものではないと、NCI癌予防部門長Dr. Barry Kramer氏は述べた。

NCIの早期発見研究ネットワークが支援する試験を含むphi検査に関する過去の複数の試験では、phi高値は進行前立腺癌を示す可能性があることも示唆されている。

しかし、生検を行うべきかどうかを示すphi値の基準はないと、FDAは注意している。「臨床での意思決定の指針として用いる適切なphi値の選択は、個々の患者間で異なり、他の臨床的に重要な因子や疾患の家族歴に部分的に依存する可能性がある」と、その承認概要において説明している。

本検査の開発企業であるBeckman Coulter社によれば、Access Hybritech p2PSAは年内に米国において販売される予定である。

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大倉綾子 訳
榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修