飲酒が寿命を縮めることはあっても延長することはないらしい。
確かに私の父親は78歳になるが、外見も若々しく健康だ。
若いころから喘息もちで発作をしばしば起こしていたし今現在でも最低限の薬は服用している。もう40歳ごろから糖尿病だが、幸い透析が必要なほど悪化もせずこれも最低限の薬の服用でコントロールされている。

タバコももう20年前にはやめているし、酒は一切晩酌などしない。飲めないタイプなのだ。それでも付き合いで飲むことがあるようだがそれも週末程度のものだ。深酒はしていない。

食事には気を使っていて、本人の食事の趣味趣向もあるが魚ばかり食べている。母親が田舎料理ばかり作るので楽しみがないとぼやいているがそれも健康的でいいのだろう。野菜とか味噌汁とかばかり食べているようだ。

さて、飲酒が寿命の延長に寄与しているかどうかだが、ほとんどすべての酒好きの人は害悪になっているだけだろうと思う。
酒の量と寿命の関係は諸説あるが、どうやら全く飲まない人と、本当の適量(1日アルコール12g=ビール360ml)程度のひとが長寿らしい。

本当の適量で酒量がすむ人は少ないのではないだろうか?
ならば一切飲まないと決めているほうがお金の無駄にならないし、飲みすぎで生じるデメリットを減らせる気がする。

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「毎日少しの飲酒で長生き」説、信じていい?

休肝日は、大酒を飲む「免罪符」にはならない

 

岡田 正彦 :新潟大学名誉教授、医学博士 岡田 正彦Masahiko Okada新潟大学名誉教授、医学博士 新潟大学名誉教授、医学博士。現・水野介護老人保健施設長。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業、1990年より同大学医学部教授。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」を受賞。専門は予防医療学、長寿科学。『人はなぜ太るのか-肥満を科学する』(岩波新書)など著書多数。

 

私の研究グループが行った研究では、ほどほどのお酒を飲んでいる人は糖尿病やメタボリック症候群になりにくいことが証明できました。

前述のとおり、アルコールは人体にとっての毒物ですから、お酒が直接的に好ましい効果をもたらしているとは考えにくく、むしろ夕食どきにほどほどのお酒を飲みながらゆっくり過ごせるような「心身のゆとりを持っている人」が長生きをしているのかもしれない、と、私は考えています。

さて、ここで肝心なのは「ほどほど」がどれくらいの量かということ。多くの調査でわかってきたのは、お酒の種類によらず、それぞれの標準グラス、たとえばワインならワイングラス、ビールならタンブラー、ウイスキーならショットグラスで1杯ぐらいが適量だということです。アルコール量にして、約12グラムと覚えておきましょう。

飲むタイミングに関して言えば、食前に少量のお酒を飲むのは理にかなっていると言えます。少量のアルコールには、消化液の分泌を促進したり、胃や腸の運動を活発にしたりする作用があるためです。その昔、病院では食欲がない患者さんに「赤酒リモナーデ」という液体を処方することがありましたが、これも中身のベースは、実はワインです。

 

「休肝日」を設けることには意味がない?

飲みすぎが体に悪いことは誰でも理解できると思いますが、それを防ぐために「休肝日」を設けているという人もいるでしょう。血液検査の結果を受けて、医者からそのように指導を受けた人も多いのではないでしょうか。

しかし、たとえば週に1日だけお酒を飲まなかったとしても、普段からお酒を飲んでいる人の肝臓がきちんと休まるわけではありません。肝臓は日々、アルコール以外にもさまざまな悪玉物質の解毒を行っていますから、そもそも「休む」ということはない臓器なのです。

 

厚生労働省研究班が行った調査(JPHC研究)によれば、アルコールを週に合計600グラム以上飲んでいる人に限り、「週に14日飲む人」よりも「週に57日飲む人」のほうが、その後の死亡率が高くなっていたそうです。

これは一見「休肝日」を設ける意義を証明するデータのように思われますが、「アルコール600グラム」は、ビールに換算すれば大瓶26本、清酒で26合にもなり、かなり度を超えた水準です。

1週間当たりこれ以上の大酒を飲んでいる人なら、さすがに飲まない日を設けたほうがいいでしょうし、飲酒以外の生活習慣にも何らかの問題があり、それらも含め死亡率を左右していると推測することもできます。

いずれにしろ、休肝日は大酒を飲むことの免罪符にはなりません。健康の秘訣は、やはり「ほどほどのお酒を楽しむ」ということですね。