中性子を使って癌を死滅させる治療です。

未来的な治療ですね。本来は小さな原子炉がないと発生しない中性子を加速器を使う事で発生させる技術だそうです。これなら最低限の副作用でできるものだと思います。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160311-00010003-yomidr-sctch

がん細胞だけ狙い撃ち…放射線治療の新医療機器完成

読売新聞(ヨミドクター) 311()1211分配信

 

 

BNCT治療を行う放射線治療装置(国立がん研究センター中央病院で)

がん細胞だけを狙い撃ちする放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)を行う新開発の医療機器が国立がん研究センター中央病院(東京)内に完成し、報道陣に公開された。 腫瘍マーカーの意味、誤解していませんか?  実用化に向け、来年度末から悪性黒色腫(メラノーマ)などの臨床試験(治験)を始める方針。

BNCTは、がんに集まるホウ素の薬剤を患者に点滴した後、中性子線を照射。腫瘍の中のホウ素との間で核反応が起きた際に出る放射線で、がんをたたく。従来の放射線や重粒子線よりもピンポイントでがん細胞に照射でき、副作用も少ないとされる。治療は原則1回、30分~1時間照射する。  従来は研究用の原子炉を使っていたが、中性子線を発生させる病院設置型の機器が開発され、医療として普及させる見通しが立った。

 

 

株式会社リライズメデイカルシステムズのHPより

http://www.rerise-medicalsystems.co.jp/bnct/

一般的概念としては、中性子捕捉療法とは分子イメージングと粒子線の融合治療であるとも言えます

■細胞選択的

BNCTは正常細胞には影響が少なく、がんを細胞単位で非侵襲的に死滅させる事が可能な治療法です。

■領域選択的

「放射線治療(陽子線・重粒子線含む)」は、正常細胞もがん細胞も同じような影響を与えるため、如何に放射線を照射する領域を正確に決定できるかが重要となります

※がん細胞と正常細胞の区別は一般放射線治療、陽子線、重粒子線では出来ません。よってBNCTは正常細胞に非常に優しいがん治療法といえます。

BNCTの仕組み

一般的概念としてBNCTでは、以下の様な仕組みでがん治療を行います。

Step.1

がん細胞に取り込まれやすいホウ素-10を含んだ化合物を予めがん患者様に点滴などで投与し、がん細胞にホウ素-10化合物を集積させておきます。

Step.2

体外からエネルギーの低い中性子を患部に照射することにより、エネルギーの低い中性子は生体内を進んでがん細胞に到達します。

Step.3

がん細胞内でエネルギーの低い中性子とホウ素-10が出会うと、そこで反応がおこりアルファ線(α線)が生成されます。(α線は生成されるときに大きなエネルギーをもらい飛び出しますが、その飛ぶ距離は生体内では非常に小さく、細胞一個あたりの距離しか進むことが出来ません)

生成するときに得られたエネルギー(2.33MeV)を全部細胞に伝達して使いきってしまいますので、がん細胞に大きなダメージを与え死滅させる事が出来ます。正常な細胞では、エネルギーの低い中性子(~0.025ev)は殆ど影響も与えず通過していきます。

※要注意:この際、速中性子が含まれると、正常細胞への悪影響が発生します。

こういった仕組みであるため、BNCTは正常細胞には影響が少なく癌細胞のみを死滅させるがん治療法です。

これまでのBNCT

BNCTは新たながんの治療法として大変期待が持てるがんの治療法です。これまでは、エネルギーの低く、人体に影響のない中性子を得るには、発生源を原子炉に求める他ありませんでした。日本でも限られた原子炉施設でのみ研究として行なわれてきました。

安全性についても原子炉施設では常に核燃料を有しており、その管理も非常に大変なものとなります。 この治療環境ではがん患者様への負担も大きく、且つ一般の医療機関で行えるがん治療法として普及させる事は不可能で、大きな課題となっておりました。

これからのBNCT

「原子炉」というBNCTを普及させるための制約から解放されるために、「加速器」を用いた中性子源の開発が進められ、現実のものとなっております。

これにより、一般の医療機関にも導入が可能となり、多くのがん患者様にこのBNCTをご提供できるようになります。