糖尿病や高脂血症で太っている患者さんに食事制限はしていますか?と聞くと、場合によっては
「これ以上は無理なくらいにしている」ということが多い。
これ以上は無理というから、ほとんど絶食に近い状況であるのだろうかと心配したりするが、実際は太っているだけあって、1日3回きっちり食べている。多少おかずを減らしてみたり、ご飯を2杯食べるところを大盛り1杯にしていることを制限と呼んでいるようだ。

 ご本人は自分がたいして食事制限などできていないという意識はなく、頑張っていると感じている。これも一種の糖質中毒かもしれない。アルコール中毒の患者が、アルコールを止められないのと同様に、アルコールを飲んでいても他人には飲んでないと詐称するのと同様である。
 糖質は人間をダメにすることはないが、人間を肥満にすることだけは言えるだろう。肥満になってしまったに人には一日も早く痩せることを願っている。

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http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20131220002&ST=yahoo_headlines

Cathy Newman,
National Geographic News
December 20, 2013

 アメリカの肥満をめぐるドラマでは、脂肪と糖は誰もが認める二大悪役だ。だが、より悪いのはどちらなのだろう?

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 オレゴン研究所のエリック・スタイス(Eric Stice)氏のチームは、高校生106人に機能的磁気共鳴画像(fMRI)装置を装着した状態でミルクセーキを飲ませ、脂肪と糖のどちらに脳の報酬中枢がより強く反応するかを調べた。アメリカ国立衛生研究所(NIH)の資金提供により実施されたこの調査では、糖の方が脂肪よりも悪いという結論に落ち着いたようだ。我々はスタイス氏に詳しい話を聞くことにした。

◆今回の調査で新たに分かったことは何ですか?

 今回の調査では、脳スキャナーを装着した状態で人に食べ物を与えるという初の実験を行いました。脳の報酬領域の動きを画像化して調べたところ、糖は報酬回路を支配し、食べたいという衝動を促す力が脂肪よりも強いという結論に達しました。

◆糖を多く摂れば摂るほど、衝動が抑えられなくなるということですが、まるで依存症ですね。

 そのとおり、糖は乱用薬物のようなものです。今でも覚えていますが、子どものころ母親に「落ち込んだときはチョコレートを食べなさい」と言われたものです。

 くだらないと思っていましたが、かならずしも間違いではないということになります。

◆肥満の問題について数字をあげて説明してもらえますか?

 アメリカ人の60~70%が太り過ぎ、つまり肥満です。毎年30万人が肥満が原因で死亡しています。

◆そもそもなぜ人は糖を欲するのでしょう?

 人には先天的に糖を好む傾向があると思われます。昔、人は食べ物が足りないことが原因で死に至っていました。十分なカロリーを摂れるように、我々は糖を好むようになった。そのため、摂りすぎに歯止めをかけるブレーキはないのです。

◆調査対象として高校生を選んだ理由は何ですか?

 将来の体重増加のリスクを高める初期の神経学的脆弱性因子を特定し、体重増加と高エネルギー密度食品の摂りすぎによって報酬回路に変化が生じるのかどうかを見極めること。それが今回の調査の目的でした。高校生を調査対象に選んだのはそのためです。病的な体重増加が始まる前の子どもたちについて調べたいと考えたのです。

◆良い傾向として、脂肪摂取量が下がっていますよね?

 1970年代に脂肪が心臓発作の原因となることが明らかになりました。それで、脂肪を摂る量を減らそうという機運が高まったのです。ですが、脂肪を減らすことには成功したものの、過食が増え、人々は脂肪の代わりに糖を摂るようになりました。ケチャップやスパゲティソースなどの食品の糖の含有用はかつてないほど増えています。食品業界は人々が好んで食べるものを売ろうとしているのです。

◆悲しいかな、人は脳内化学物質に翻弄されっぱなしのように思われますが。対応策はありますか?

 段階的な再訓練という方法を勧めています。糖の量を徐々に減らしていくのです。

◆糖はすべて同じ組成なのですか?

 糖類には、いわゆる糖と呼ばれる単糖類と、果物や全粒穀物のような複合糖類があります。単糖類には、スクロース(ショ糖)、グルコース(ブドウ糖)、ブドウ糖果糖液糖など多くの種類があります。ニンジンなどの野菜にも糖分が多く含まれています。果物や野菜には満腹感が得られる食物繊維のほか、ビタミン、ミネラルが含まれるため、糖類の60%を果物や野菜から摂るようにすれば申し分ありません。一方、炭酸飲料などの単糖類はカロリーが高いだけで、栄養面のメリットはありません。

 今回の研究は「American Journal of Clinical Nutrition」オンライン版に10月16日付けで公開された。

Photograph by Robert Clark, National Geographic