骨粗しょう症の治療にもビミタンDは用いられている。ビタミンDの効果は医療の世界ではあまり話題にならず新たな研究もないが、サプリメントとしては安全で薬よりも副作用の恐れがないなど利点も沢山ある。

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大腿骨頚部骨折予防におけるビタミンDサプリメントの費用対効果分析 

今月の骨粗鬆症研究の専門ジャーナル(電子版)に、高齢者の大腿骨頚部骨折予防におけるビタミンDサプリメントの費用対効果を検証した臨床研究が、フランスのグループから報告されていました。
Osteoporos Int. 2014 Apr 2.)

高齢者における大腿骨頚部骨折は、寝たきりや介護の原因となるため、予防が重要です。
近年では、ロコモティブ症候群をキーワードとして啓発が進められています。
さて、今回の研究では、高齢者の大腿骨頚部骨折の予防を目的としたビタミンDサプリメント投与の経済性(費用対効果)が検証されました。

具体的には、高齢者の大腿骨頚部骨折の一次予防のために、次の4種類の介入方法が比較されています。
(1) 非投与群、
(2) 血中ビタミンD値を調べずに、ビタミンDサプリメントを投与する群、
(3) 血中ビタミンD値を試験開始時と3ヶ月後に測定したビタミンDサプリメント投与群、
(4) あらかじめ血中ビタミンD値を測定し、ビタミンD不足をスクリーニングしてビタミンDサプリメントを投与する群、

費用対効果評価モデル(マルコフモデル)を用いての解析の結果、(3)の、投与してチェックした群、と
(4)の、スクニーニングして投与した群、は、費用対効果の点で、(2)よりも有意に優れていたということです。(それぞれ、5,219ユーロ/ QALYと、 9,104ユーロ/QALY)

一方、(1)の非投与群では、高齢者の大腿骨頚部骨折の一次予防において、費用対効果が最も低いことが示されています。
以上のデータから、65歳以上の高齢者の大腿骨頚部骨折の一次予防のためには、
ビタミンDの血中濃度をチェックしながら、ビタミンDを投与する方法が、もっとも費用対効果に優れていることが示唆されます。

ビタミンDサプリメントは、セルフメディケーションになりますが、
ビタミンD値をかかりつけの医療機関で測定しながら、サプリメントを利用することが可能です。
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。

一般に、健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。

ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。

日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000~2,000IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)

今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。

日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、日本人妊婦の90%がビタミンD不足
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。

DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。