クルクミン(ウコン)によるアセトアミノフェン(タイレノール)誘導性肝障害抑制作用 

内服薬の副作用も抑制する効果があることがわかった。しばしば、頻回にNSIDsを使用する際には併用すればいいだろう。

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消化器病学の専門ジャーナルに、クルクミン(ウコン)によるアセトアミノフェン(タイレノール)誘導性肝障害抑制作用を示した基礎研究が、タイのグループ(Chulalongkorn University)から報告されていました。
(World J Gastroenterol. 2013 Mar 28;19(12):1962-7.)

アセトアミノフェン(タイレノール)は、日本を含めて広く世界中で用いられている鎮痛薬です。
ただし、過剰投与や飲酒との併用による重篤な肝障害を生じることが知られています。

さて、今回の研究では、ウコンに含まれる機能性成分のクルクミンによる、アセトアミノフェン過剰投与時の肝障害への作用が調べられました。

具体的には雄マウスを用いて、・対照群(n=8)
・アセトアミノフェン投与群(n=8):400mg/kgの単回投与
・アセトアミノフェン+低用量クルクミンの併用投与(n=8):クルクミンは200mg/kg
・アセトアミノフェン+高用量クルクミンの併用投与(n=8):クルクミンは600mg/kg
の4群について、肝臓組織学的検査、酸化障害、肝機能関連指標が測定されました。

解析の結果対照群に比べて、アセトアミノフェン投与群では、肝逸脱酵素の増加、肝MDA値の増加、炎症惹起サイトカイン類の増加が認められました。

クルクミンの併用群では、アセトアミノフェン投与群に比べて、これらの指標(の増加)が有意に抑制されていました。
GSH(抗酸化能の指標)は、対照群に比べてアセトアミノフェン投与群では有意に低下しています。
これに対して、クルクミンの併用では有意な増加を示しました。

肝臓の組織学的所見では、アセトアミノフェン投与群では、出血性壊死組織が認められたのに対して、
クルクミン併用群では、これらの所見の改善が見出されています。
以上のデータから、

アセトアミノフェンの(過剰)投与時における肝障害や酸化障害のリスク抑制に対して、
ウコン/クルクミンの併用投与が有用であると考えられます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。

ウコンには有効成分としてクルクミンが存在し、抗炎症作用を示します。
分子メカニズムは、NF-κB抑制を介した抗炎症作用です。
クルクミン/ウコンは、日本では、飲酒時の肝臓保護というイメージですが、海外の臨床試験では、抗炎症作用、抗がん作用、認知症抑制など多彩な作用が示されています。

クルクミン(ウコン)について簡単にまとめてみました。

■クルクミンとは
・クルクミンは,ウコン(学名Curcuma longa)の有効成分。
・非臨床研究;抗炎症作用,抗酸化作用,細胞増殖抑制。
・臨床研究では,進行がん,多発性骨髄腫,大腸腺腫等へ投与。

■クルクミン 第1相臨床試験 
・クルクミンを用いた用量漸増試験(Dose Escalation Study)
 健常者24名を対象に,クルクミンを500,1,000,2,000,4,000,6,000,8,000 mgの用量にて単回投与した結果,認容性が示された。(BMC Complement Altern Med. 2006 Mar 17)

・Phase I clinical trial of oral curcumin: biomarkers of systemic activity and compliance.
 大腸がん患者15名を対象に,3,600mg/日のクルクミンを4ヶ月間投与。
(Clin Cancer Res. 2004)

■クルクミン 第2相臨床試験
・クルクミンによる臨床試験第2相:進行膵がん
 膵臓がん患者25名を対象に、8,000mg/日のクルクミンを投与。高い認容性。一部の患者では有効性も。(Clin Cancer Res. 2008)

■細粒化クルクミン:吸収率の飛躍的向上とヒト臨床試験
・Nanoparticle curcumin for improved oral bioavailability (Biol Pharm Bull. 2011;34(5):660-5)
・Nanoparticle curcumin can safely increase plasma curcumin levels in a dose-dependent manner at least up to 210 mg without saturating the absorption. (Cancer Chemother Pharmacol. 2011 May 21.)

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