BPHは排尿困難、頻尿、おもらし、EDなどを引き起こし男性にとっては辛い疾患の一つである。ノコギリヤシが肥大自身を改善し、かつ症状も改善することが分かっている。

*********************

http://www.dhcblog.com/kamohara/archive/1731

今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に,ノコギリヤシによるBPH(前立腺肥大症)の症状改善効果を示した臨床研究が,ルーマニアのグループ(Fundeni Clinical Institute)から報告されていました。
(Urol Int. 2011 Feb 8)

ノコギリヤシ(学名serenoa repens)は,加齢に伴って生じる良性疾患の前立腺肥大症に対して有効性・安全性が示されているハーブです。
(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブであり,医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)

今回の研究では,BPHによるLUTS(排尿困難や頻尿といった下部尿路症状)を有する患者に対するノコギリヤシ抽出物の効果が検証されています。
具体的には,BPHによって軽症から中等度のLUTS(尿量150 mL以上のときにQmaxが15 mL未満,PSA;4 ng/mL未満)を示す患者120名を対象に,1日あたり320mgのノコギリヤシ抽出物が投与されました。

投与の結果,
IPSS(国際前立腺症状スコア);5.5ポイントの有意な改善,
QOL (QoL; 1.8 ポイント) の有意な改善,
Q(max);5.6 ml/s) の有意な改善,
IIEF(国際勃起機能指数);6.4 ポイントの有意な改善
残尿量の減少(改善)
が認められたということです。

また,24ヶ月間の投与後の時点で,前立腺の平均容積は,36mLであり,投与開始時の39.8mLと比べて低下(改善)が示されています。

以上のデータから,ノコギリヤシの長期投与による前立腺肥大症関連症状の改善効果および勃起障害の改善が示唆されます。

前立腺肥大症(BPH)に対しては,外科的処置や医薬品の投与という選択肢もあります。
しかし,一部の療法では,BPHは改善しても,逆に勃起障害が副作用として生じうることが知られています。

一方,ノコギリヤシは,BPHの改善と勃起障害の改善という働きがあります。
(前立腺肥大症自体は,良性疾患です。)
有効性,安全性,費用対効果の3点を考えるとき,医薬品よりも,ノコギリヤシのほうが,推奨できると考えます。

なお,高齢男性では,(前立腺肥大症←ノコギリヤシという対処とはまったく別の話として),前立腺がんに対する定期健診が必要です。