まさに、ビタミンC点滴療法の最先端がカンザスには存在した。

思えば、ビタミン外来などというその当時はまだはっきりとした臨床効果もあるかどうか解らなかった外来を始めてもう10年が過ぎた。

この10年で私の知識はどの程度進歩したのだろう?巷では怪しげなサプリメントを販売する一般人が増えて、がんに対してあやふやな知識と想像でいい加減なサプリメントを販売している。

そういった普通の、一般人たちの想像を超える数の学会論文と基礎研究、そして臨床報告、臨床試験・・・・・その膨大な数の論文、論文にならなかった知識、経験が3日間のシンポジウムで私に襲い掛かってきた。

癌治療にかかわらず、オルソモレキュラー医学の最先端の知識をここで目の当たりにし、今まで勉強してきたことの向こう側に医学の発展が間違いなく存在しているということを実感した学会だった。

さて、癌治療の具体的な話を早速して見たい。

癌治療にビタミンCが効果的なことは、言うまでもないが現在の点滴療法は更にアルファリポ酸やグルタチオンをそのレパートリーに加えてきつつある。何故、アルファリポ酸が癌細胞に効果があるのか?どういった効果で、メカニズムで癌細胞が死滅するのか、理論的な背景がわかったので簡単に報告したい。

癌の治療法となると我々は抗癌作用をつい第一選択にして考えがちである。それはマチガイではないが、それではがんが治癒しないこともまた事実である。

それはいまだに現代医学ではがんを根治できないことからも異論はないだろう。(ここで異論を唱える馬鹿な医者もいるのだが)

がんの治癒には癌細胞への攻撃だけでは不十分で、癌細胞が勝手にアポトーシスを起こす経路も必要である。その癌細胞がアポトーシス(自発的に細胞死すること)を起こす事は知られていて、自律神経免疫療法や、温熱療法も一般的になってきた。

しかし、何故アポトーシスを起こすかについてはまだ、わかっていなかった。しかし、今回のシンポジウムでの発表で「New Frontiers of IVC Research]

という題でXiaolomgMeng,MDがその理由を研究発表していた。

内容は難解なので結論だけをこのブログでお知らせしたい。

つまり、癌細胞は遺伝子障害を修復するサイトカインとオンコプロテインを分泌し、それを修復するために増殖する。したがって遺伝子障害が解消すればアポトーシスを起こしてしまう。

これは何を意味しているだろうか!!

アルファリポ酸やグルタチオンといった抗酸化剤や解毒剤が癌細胞のアポトーシスを引き起こしていたのである。この発表が行われたた時には会場は拍手の嵐が巻き起こり、私も興奮で大声を上げて喝采したことを鮮明に覚えている。