ミトコンドリア障害はがん治療にとっても大きな問題である。癌細胞は糖代謝中心の細胞であるため、ミトコンドリアの活性化はがん細胞の自然死(アポトーシス)を促進します。そのため、ミトコンドリアの活性化は非常に重要です。

また、癌細胞は嫌気性代謝優位になっているためにミトコンドリア機能が障害されておりコエンザイムQ10やアルファリポ酸、高濃度IVC、コーヒーなどで治療効果が上がるとされている。

また、細胞内の酸化という観点からもミトコンドリア障害は問題だ。繊維筋痛症にコエンザイムQ10が効くのも細胞内の代謝、酸化に関連があると思われる。

 

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今月の欧州の薬理学専門ジャーナル(電子版)に、スタチン薬投与時に生じるミトコンドリア障害が、コエンザイムQ10サプリメント投与により抑制されるというデータを示した基礎研究が報告されていました。(Eur J Pharmacol. 2015 May 22.) スタチン薬は、LDLコレステロール合成を効果的に抑制しますが、 HMG-CoA抑制を介して、その下流において、 LDLコレステロールと生合成経路を共有している内在性のコエンザイムQ10合成も抑制してしまいます。 そのため、スタチン薬服用中の患者では、対照群に比べて、内在性コエンザイムQ10値が半減することが知られています。 現在、スタチン投与により、ミトコンドリア内で内在性コエンザイム値が低下することが、スタチン投与時の肝障害や筋肉障害を生じると考えられています。 そのため、スタチン薬投与中の患者では、コエンザイムQ10サプリメント(1日あたり90mg~100mg程度)の併用摂取が必須です!!! (DHCの包接体コエンザイムQ10は、一か月分、900円未満です。) さて今回の研究では、スタチン薬投与時におけるコエンザイムQ10サプリメント併用での、ミトコンドリア機能への作用が検証されました。

 

具体的には、実験用ラットを用いて、7群に分け、標準食(普通食)、高脂肪食での比較が行われています。 1群.標準食+対照群 2-7群 高脂肪食、対照群、コエンザイムQ10 (10mg/kg), シンバスタチン(30mg/kg), アトルバスタチン(30mg/kg), シンバスタチン+ CoQ10、アトルバスタチン + CoQ10投与群 30日間の介入が行われ、ラット肝臓のミトコンドリア機能が調べられています。 解析の結果、高脂肪食+スタチン投与群では、 血中中性脂肪、コレステロール、LDL値の上昇が有意に抑制されていました。 一方、ミトコンドリア機能の指標(SDA, ATP levels, MMP, MPP)によると、 スタチン薬投与により、ミトコンドリア機能は有意に低下し、 スタチン薬+コエンザイムQ10サプリメントの投与によって、ミトコンドリア機能の有意な改善が認められたということです。 コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。 還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。 (酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。) コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。 したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。 一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。