低炭水化物食のダイエット効果は明らかである。今回の実験は1日に約1200kカロリーを低脂肪と低炭水化物で摂取するダイエットである。タンパク質には言及がないので好きなだけ、ただし、食べ過ぎはしないという条件だったのだろうか?

結果的にはダイエット効果、ウエストサイズ減少効果があったようだ。

そしてこれらのダイエット方法は私の施設を含めて食事療法をある程度勉強した医療機関で行っているダイエット方法だと思う。

逆にいうと糖尿病の普通の治療をしている医療機関では低炭水化物ダイエットは指導していないだろう。低炭水化物ダイエットは医学界の抵抗をいまだに受けている。日本の糖尿病、高血圧症、動脈硬化症のガイドラインには炭水化物の摂取に関していまだに総摂取カロリーの45%前後などと書いてある。

食事で病気を治したらいけないのだ。適度に食欲を刺激して食べざるを得ない生活習慣を作りあげておいて、食事療法は難しいと思い知らせておいて、たくさんの薬を飲んでもらうことで成り立つビジネスだと考えているのだろう。辛口で言えばこういうことである。

また同時に低炭水化物食を続けられる患者がどれだけいるのだろうか?炭水化物中毒になり、食べれなかったら死んでもいい、などと平気でいう人もいる。どうだろう、糖尿病になる人は炭水化物が好きな人が多いはずだから、その人々に説明して納得してくれる人は30%か?実際に行動できるのがその半分として15%くらいの患者さんが糖尿病から脱出できるのではないだろうか?

最初の70%、食べることがやめられない人と、解っているけれど食べるのは止められない人々にとっては、この低炭水化物食も結局は絵に描いた餅ではないか。

ダイエット外来をしていて毎週面談して3か月頑張っても半分の人はリバウンドして帰ってくる。食事は習慣だから、徐々に慣れてゆきそういった食事に一生変えてゆく覚悟を持った人が成功するようだ。

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今月の循環器学の専門ジャーナル(電子版)に、超低炭水化物食(糖質制限食)による体重減少効果を示した臨床研究が、イタリアのグループ(University of Bologna)から報告されていました。(High Blood Press Cardiovasc Prev. 2015 May 19) 糖質制限食・低炭水化物食は、肥満やメタボリック症候群の改善、2型糖尿病の血糖コントールの改善に有用であることが知られています。 糖質制限食のうち、1日あたり20グラム未満などの厳しい糖質制限を行う食事療法は、 超低炭水化物食やケトジェニックダイエット(ketogenic diet;KD)と呼ばれています。 ただし、結果的に高タンパク高脂肪となるので、心血管リスクファクターへの影響に対する懸念も生じます。 超低炭水化物食のケトジェニックダイエットに、オメガ3系必須脂肪酸サプリメントを追加することで、 心血管リスクファクターの改善効果を示した研究も知られています。 糖質制限食/ケトジェニックダイエット+オメガ3系必須脂肪酸の併用効果 さて、今回の研究では、一般内科医、かかりつけ医の臨床外来において、 肥満や心血管リスクに対する超低炭水化物/ケトジェニクダイエットの有用性が検証されました。 具体的には、イタリアでの多施設共同研究として、377名の患者を対象に、超低炭水化物食が1年間、投与されています。 用いられたフォーミュラ食は、低脂肪・低炭水化物食であり、内訳は、脂質1.2g/糖質1.5 g/kg標準体重です。なお、開始時と終了時には、それぞれ漸減、漸増として、緩やかに導入と終了が行われました。 解析の結果、心血管疾患リスクである肥満の改善(体重の有意な減少)が認められました。 体重減少は、速やかに生じています。 開始時から4週間後の体重変化幅:-7 ± 5 kg, p < 0.001、 4週間後から12週間後;-5 ± 3 kg, p < 0.001 12週間後から12ヵ月後:有意差ナシ また、ウエスト周囲径も、有意な減少(改善)が見出されています。 開始時から4週間後の変化幅:-7 ± 4 cm, p < 0.001、 4週間後から12週間後;-5 ± 7 cm, p < 0.001 12週間後から12ヵ月後:有意差ナシ さらに、体脂肪量は、開始時から4週間後の変化幅:-3.8 ± 3.8 %, p < 0.001、 4週間後から12週間後;-3.4 ± 3.5 %, p < 0.001 12週間後から12ヵ月後:有意差ナシでした。 その他、収縮期血圧は、開始時から12週間後の間に、有意に低下し(-10.5 ± 6.4 mmHg, p < 0.001)、その後の期間では有意な変化は示されていません。 以上のデータから、かかりつけ医の外来において、超低炭水化物/糖質制限食は、 中期的な介入(今回は1年間)により、体重や体脂肪の減少、収縮期血圧の低下(改善)といった有用性が得られ、かつ、安全性の点でも問題はない、と考察されています。 DHCでは、「‘ゆるやか’糖質制限」(緩やかな糖質制限食・低炭水化物食)を推奨しています。 最新の科学的根拠を俯瞰すると、 「緩やかな糖質制限食・低炭水化物食」を基本とした食生活が、 「ヘルシーエイジング(健康長寿)」 「ダイエット(適正体重の維持)」 「アンチエイジング(抗加齢)」 に有用であると考えられます。 一般的な食事ガイドラインでは、炭水化物の摂取量が、エネルギー比で50%-60%くらいに設定されています。 日本の基準は、欧米のガイドラインに比べて、炭水化物の摂取量が多めに提示されています。例えば、農水省が作成した食事バランスガイドや日本糖尿病学会のガイドラインなどです。 実際、近年の研究では、糖質制限を支持する多くのデータが示されています。 例えば、 糖質制限食・低グリセミック指数(GI)食・地中海食の糖尿病改善効果 低炭水化物食による血糖改善作用@2型糖尿病患者 糖質の摂取が多いと肥満になる:メタ解析 などです。 また、2型糖尿病の治療では、 血糖コントロールの指標であるヘモグロビンA1cが同じでも、血糖の変動幅が大きいと、血管障害などを生じやすいことが知られています。 (つまり、食後過血糖をおさえる必要があります。) (そこで、最近では、炭水化物をはじめとする三大栄養素の摂取割合について、個人差を考慮して、多様性を認める指針になりつつあります。) DHCが推奨する「緩やかな糖質制限」では、 医学的には、例えば、尿中ケトン体が出るほどの糖質制限(超低炭水化物食)ではない食事です。 「緩やかな糖質制限」での具体的な炭水化物の摂取量は、1日あたり120グラムから150グラムが適切でしょう。1日3食とすると、1食あたりの炭水化物摂取量は、40グラムから50グラムまでです。 これは、普通サイズの茶碗に1膳の精白米ごはんよりもやや少ないくらいの量に相当します。あるいは、コンビニおにぎり1個くらいでしょうか。 (なお、適切な炭水化物の摂取量の設定では、個人差や体調、基礎疾患や既往歴の考慮が必要です。

特に、糖尿病や脂質異常症で治療中の場合、自己判断による炭水化物制限や、自己流の低炭水化物食は勧められません。) 従来、肥満や2型糖尿病に対する食事療法では、低脂肪食・低カロリーが推奨されてきました。低脂肪食・低カロリー食で、減量ができ、血糖コントロールが良好となる場合には、それで問題ありません。 一方、アトキンスやサウスビーチなどに代表されるダイエット法では、低炭水化物食が推奨されてきました。(80年代から90年代に流行した低炭水化物食は、エネルギー比で40%ほどに抑えるという食事方法です。これに対して、一般的な食事ガイドラインでは、炭水化物のエネルギー比は55%~60%が適切とされています。) 糖尿病治療では、糖質制限食が選択肢の一つとして認められつつあります。 (一般に、炭水化物=糖質+食物繊維です。ただし、食物繊維は、低炭水化物食/糖質制限食では、炭水化物/糖質としてカウントはしていません。肥満治療では、低炭水化物/ローカーボという表現が使われています。一方、糖尿病治療では、糖質制限という表現が多いようです。どちらも同じ概念です。) 医学医療の世界では、炭水化物を制限する食事療法は、ながらく否定されてきました。 特に、2000年代に入って、ニューアトキンスとして、超低炭水化物食が提唱されると、メインストリームの医学医療界からは、不適切なダイエット法の典型のように攻撃されています。(超低炭水化物食では、炭水化物の摂取をエネルギー比で5%ほど、あるいは1日20グラム未満に抑えます。) しかし、この10年ほどの間に、低炭水化物食および超低炭水化物食(炭水化物制限食)が、従来の低脂肪食よりも優れた減量効果を示す、という臨床研究(ランダム化比較試験)が、数多く報告されています。 (私事ですが、10年ほど前に、「燃焼系ケトン体ダイエット」 というムック本を出したことがあります。 エビデンスが出ているにもかかわらず、炭水化物制限食・低炭水化物食・超低炭水化物食に対する医学界からの批判は大きいのですが、低脂肪食で十分な効果が得られない肥満者や糖尿病予備軍の人がたくさんいるという事実があります。 したがって、基礎疾患のない肥満者や糖尿病予備軍の人に対しては、数ヶ月から1年ほど、炭水化物制限食を試みる価値は十分にあると考えます。 (エビデンスがあるのに批判されるという状況は、サプリメント・健康食品も同じです。 一定のエビデンスが構築されているのに、積極的に評価していこうとする医療者は、残念ながら少数派でしょう。 現在の医学医療のビジネスモデルが、基本的には、病人が増えることで儲かる仕組みになっているので、仕方ありませんが。) 最近の研究では、低炭水化物食・炭水化物制限食が有効な人、低脂肪職が有効な人の違いを示唆するデータもあります。要するに、一律に、低脂肪食、あるいは低炭水化物食というのではなく、その人の体質にあった、テイラーメイドの食事療法を行うことがポイントです。 炭水化物を極端に減らす食事では、結果的に、脂質とタンパク質が多くなるため、体にいい脂肪と植物性タンパク質を多くするなどの工夫も必要でしょう。 同じ炭水化物でも、消化吸収されやすい単純炭水化物は特に禁物です。 DHCの製品で、低炭水化物食・低GI食・低GL食に相当するのは、 DHCプロティンダイエットです。 DHCプロティンダイエットは、減量のため、あるいはリバウンド予防のための食品(フォーミュラ食・置き換え食)として考えられていますが、 コエンザイムQ10やポリフェノール、食物繊維などの機能性食品成分を含んでおり、 ヘルシーエイジングのための低カロリー・低炭水化物食品として、食事代わりに利用できます。 その他、低GI食、低GL食として、 発芽玄米米こんにゃく、があります。 炭水化物制限というと、「焼き肉食べ放題」のような間違ったイメージで語られることがありますが、決してそのような推奨ではありません。 単純炭水化物を避け、良質の脂質(エクストラバージンオリーブオイルやオメガ3系脂肪酸)を摂り、良質のタンパク質を摂る、(赤身肉や加工肉は避ける。植物性タンパク質や魚介類などを摂る)という考え方が基本です。 炭水化物制限については、脂質やタンパク質の摂取量が多くなるため、 動脈硬化性疾患リスクや腎臓への負担が議論されることがあります。 しかし、最近の研究では、それらのリスクは否定されつつあります。 DHCでは、 非対面式の介入方法として、 肥満に対するDHCのアプローチを確立しています。