ベジタリアン食を続けることができたら、大腸がんのリスクは減少する。どの程度のベジタリアンが良いのか?全く肉も魚も食べない、牛乳などの乳製品も飲まないのがいいのか?それとも乳製品は良いとするのか?

ベジタリアンだから野菜だけ食べているのだと思いがちだが、いろいろと種類があるのだ。

この研究では魚と野菜の食事が最も良い結果になっていたが、栄養素の働きからすると納得がいく。

魚は炎症を抑えてくれるし、脳や神経にも良い影響が出る。脳や神経が免疫に関連することも考えれば、癌に関しては良い結果が出るとしても当然だろう。

肉食が体に悪いという研究は沢山あるのだが、一部の健康に敏感な人達にしかその情報は共有されていない。同様に低炭水化物食、ゆるい炭水化物制限が体に良いこともわかってきている。お菓子や主食のパン、麺類、ご飯などをどれだけ制限できるかがテーマだろう。

断食を始めてからたまに高炭水化物食事をとると血糖値が上がる不愉快感が大きくなってきた。この不愉快感が出てきたら炭水化物をみなさん、減量できるんだと思う。

 

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今月のアメリカ医師会ジャーナル(電子版、姉妹誌)に、ベジタリアン食の摂取と、大腸がんリスクとの関連を調べた研究が、米国のグループ(Loma Linda University)から報告されていました。 (JAMA Intern Med. 2015 Mar 9.) 大腸がん(結腸がん、直腸がん)は、食生活や運動習慣といったライフスタイルにより、リスクを低減できることが知られています。 これまでの多くの研究によって、栄養学的にバランスの取れた、適切なベジタリアン食は、生活習慣病の予防や改善に有効であることが示されています。 また、AICRなどがん予防指針では、赤肉や加工肉の摂取によるがんリスク増大が示されています。 さらに、最近では、エコロジー、環境保護、環境負荷の少ない食事、持続可能性・サステナビリティといった視点から、ベジタリアン食という選択が注目されるようになりました。 今回の研究では、ベジタリアン食のパターンと、大腸がんリスクとの関連が調べられました。 具体的には、北米でのコホート研究として、 2002年1月1日から、2007年12月31日の間に登録された男女96,354名を対象に、 がん罹患に関する記録がフォローアップされています。 (Adventist Health Study 2 (AHS-2)という研究の一環です。) 2014年6月1日から10月20日の間に、77,659名分のデータが解析されました。 食事調査によって、ベジタリアンが、 ・ビーガン(ヴィーガン)、 ・ラクトオボベジタリアン、 ・ペスコベジタリアン、 ・セミベジタリアン、 に分類され、非ベジタリアンとの比較が行われました。 7.3年間のフォローアップ期間中、結腸がん380例、直腸がん110例が見出されました。解析の結果 まず、非ベジタリアンに比べて、ベジタリアン全体では、結腸がんと直腸が、22%の有意なリスク低下、 (0.78 (95% CI, 0.64-0.95)) 大腸がんが19%の有意なリスク低下、(0.81 (95% CI, 0.65-1.00))

直腸がんが29%の有意なリスク低下、(0.71 (95% CI, 0.47-1.06)) という相関が見出されました。 次に、大腸がん(結腸がんと直腸がん)に関して、非ベジタリアンに比べて、ビーガンでは、 16%のリスク低下傾向、(0.84 (95% CI, 0.59-1.19))、 ラクトオボベジタリアンでは、18%のリスク低下傾向、(0.82 (95% CI, 0.65-1.02)) ペスコベジタリアンでは、43%の有意なリスク低下、(0.57 (95% CI, 0.40-0.82)) セミベジタリアンでは、8%のリスク低下傾向、(0.92 (95% CI, 0.62-1.37)) が見出されました。 以上のデータから、ベジタリアン食による大腸がん(結腸がん・直腸がん)のリスク低下作用、 特に、魚類を摂取するペスコベジタリアンでの顕著な低下作用が示唆されます。 ペスコベジタリアン食は、植物性食品を中心とするベジタリアン食+EPA、DHAという食事内容になります。EPAやDHAの代わりに、ベジタリアン向けのサプリメントとしてα-リノレン酸も薦められます。 ただし、体内での、αリノレン酸からEPA、DHAへの変換効率は高くないとされています。 EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。 EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。 オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。 現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。 臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。 また、EPA:DHA=2~3:1の割合です。 日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。 EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。 一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。 生活習慣病とライフスタイルとの関連については,下記の研究が知られています。 地中海食で死亡率が半減する 低炭水化物(糖質制限)食と地中海食は低脂肪食よりも有効 オリーブオイルの摂取10gで全死亡率が7%低下 地中海食がメタボを抑制 バージンオリーブオイルとナッツ類を含む地中海食の抗炎症作用 バージンオリーブオイルの心臓病予防作用 ベジタリアン食による心血管疾患リスク低下作用 ベジタリアン食による血圧低下作用@メタ解析 なお、ベジタリアン食であれば何でも健康的になる、というわけではありません。 (例えば、野菜はナシで、パスタにチーズ、パンの組み合わせでも、ラクトオボにはなりますが。) もちろん、栄養学的にバランスの取れた、適切なベジタリアン食を摂取することが重要です。 一般に、植物性食品の摂取が多いベジタリアン食では、ファイトケミカル・ポリフェノールの摂取が多く、抗酸化作用を介した生活習慣病の予防効果が想定されます。 北米の栄養士会が共同で発表した見解によると、「適切に準備されたベジタリアン食は、健康に有益であり、必要な栄養素を満たしており、いくつかの疾患の予防や治療にも利点がある」とされています。 実際、これまでの疫学研究によって、肉食をする人々に比べて、ベジタリアンでは生活習慣病が少ないことが示されています。 ベジタリアン食による具体的な効果として、肥満、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、高血圧、脂質異常症、糖尿病、前立腺がん、大腸がんの発症リスクが低下します。 また、日本人ベジタリアンを対象にした調査でも、ベジタリアンは、非ベジタリアンと比べて、体格指数(BMI)、血圧、血中総コレステロール値、中性脂肪値が有意に低いことが見出されています。 DHCでは、良質の植物性食品として、 次のような関連製品を取り扱っています。 DHC発芽玄米 DHC発芽玄米麺 エクストラバージンオリーブオイル ところで、最近の研究によって、糖質制限食・低炭水化物食よる減量・ダイエット効果や2型糖尿病での血糖コントロール改善効果が明らかとなっています。 また、植物性たんぱく質および植物性脂質による心臓病リスク低減作用が知られています。 医学的に適切ではない糖質制限食のパターンとして、「糖質制限食・低炭水化物食では、‘焼き肉・ステーキ’食べ放題」があります。 動物性たんぱく質や動物性脂質の過剰摂取は、心血管疾患リスクを高めることが懸念されます。 植物性食品をベースにした糖質制限食・低炭水化物食による体重と脂質代謝への効果として、 エコアトキンスダイエットの減量と脂質代謝改善作用 といった研究もあります。 DHCでは、肥満・糖尿病・アンチエイジング・ヘルシーエイジング(健康長寿)のための食事として、 「‘ゆるやか’糖質制限」(緩やかな糖質制限食・低炭水化物食)を推奨しています。 最新の科学的根拠を俯瞰すると、 「緩やかな糖質制限食・低炭水化物食」を基本とした食生活が、 「ヘルシーエイジング(健康長寿)」 「ダイエット(適正体重の維持)」 「アンチエイジング(抗加齢)」 に有用であると考えられます。