これらのサプリメントの方が顎関節の開口制限の改善には効果があり、かつ炎症が治まっていることが確認された。膝関節でも同様に炎症が治まり痛み伝達物質の調整作用があることがわかっている。以前はサプリメントに効果はないと言っていたが、最近では効果があると変わってきた。薬のような副作用もなく、可動域が改善する効果もあるので患者さんは是非使ってほしいものだ。

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今月の臨床口腔外科系の専門ジャーナル(電子版)に、グルコサミンおよびコンドロイチンの併用投与による関節液(滑液)への働きを調べた臨床研究が、トルコのグループから報告されていました。(Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2015 Feb 7.)

 

グルコサミンは、変形性膝関節症などの関節疾患に広く利用されているサプリメントです。

作用メカニズムとして、アミノ糖であるグルコサミンが関節軟骨の成分であることから、構成成分を経口摂取することによる直接的な修復機構が想定されていました。

 

一方、最近の研究では、グルコサミンやコンドロイチンは、情報伝達機構における調節因子であることが示されており、変形性膝関節症に対する改善効果のメカニズムとして、構成成分自体を直接摂取する作用というよりは、シグナル伝達物質を摂取することによる作用が考えられています。

 

さて、 今回の研究では、グルコサミン硫酸とコンドロイチン硫酸の併用投与による側頭下顎関節障害への作用が検証されています。

具体的には顎関節の痛みを訴え、MRIにて、関節障害を認めた31名を対象に、 局所麻酔下に、関節液を採取し、炎症関連マーカーが測定されています。

 

ランダム化比較試験として、1日あたり1,500mgのグルコサミン硫酸と、1,200mgのコンドロイチン硫酸の併用投与群 対照群:鎮痛薬のトラマドール(tramadol)50mgを1日2回投与した群の2群について8週間の介入が行われました。

 

解析の結果、まず、疼痛レベルは、両群とも有意に減少(改善)していました。

次に、 最大開口度は、グルコサミン+コンドロイチンの併用群において、有意な改善が認められましたが、 対照群では有意な変化はありませんでした。

 

また、グルコサミン+コンドロイチンの併用投与群では、PGE2値の有意な減少が認められ、

IL-1β, IL-6, TNF-α 値の低下傾向が見出されました。

一方、対照群では、これらの炎症関連マーカーのいずれも有意な低下は示されておらず、

逆に、IL-1β, IL-6は有意な上昇を示しました。

 

鎮痛薬投与の対照群に比べて、サプリメント併用群でのIL-1β, IL-6の変化は有意であり、

TNF-α, PGE2 の変化では、有意差は認められませんでした。

以上のデータから、 顎関節症において、グルコサミン+コンドロイチンの併用投与は、

鎮痛薬投与に比べて、 開口障害の改善度はより有意であり、 関節液での抗炎症作用はより優れていることが示唆されます。