当院でも糖尿病は頻繁に遭遇する疾患である。
初診時には他院で内服治療だけしていてほぼ放置されていた方がいた。
かかとの傷が悪化して化膿し悪臭を放っている状態だった。

検査してみるとHBA1cは13.7%もあり正常の6.2%を大幅に超えていた。
食事制限をしていなかったため、薬を減らしたうえで糖質制限食を指導した。幸いに
食事療法を真剣に取り組んでいただけた。

その結果、 約2か月後にはHBA1cは7.0まで低下し、944あった中世脂肪の値は430まで低下した。コレステロールは376から363とまだまだであるが、糖尿病の治療は急激すぎるが良好だ。低血糖で困ることは全くなく、空腹時血糖は137であった。やはり糖質制限に勝る糖尿病の治療方法はないのではないかと私も考えている。

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6月7日号の英医学誌ランセットに、2型糖尿病の予防と血糖コントロールのための食事療法に関する総説が報告されていました。(Lancet. 2014 Jun 7;383(9933):1999-2007) 過去数十年の間に、さまざまな臨床研究や疫学調査が行われ、2型糖尿病の予防と血糖コントロール改善のための栄養素や食事療法が提唱されていました。

まず、三大栄養素(糖質・炭水化物、タンパク質、脂質)の「量」よりも、脂質と炭水化物の「質」のほうが重要です。

具体的には、

・全粒の穀類、野菜、果物、種実類、豆類の豊富な食事をとる、
・適量のアルコール摂取はOK、
・精製された穀類、赤身の肉や加工肉、砂糖入りの飲料の摂取は減らすこと、が糖尿病患者における血糖コントコールの改善と脂質代謝の改善に有用です。

また、地中海食、低GI食、適度な低炭水化物食、ベジタリアン食といった食事のパターンが、個別化された食事療法として利用できると考えられます。以上のレビューは特に新しいことではありませんが、日本の医療の現場では、まだまだカロリー制限食・低脂肪低カロリーのエネルギー制限食のみが推奨されています。

今後、栄養学的に適切で、個人の病態の改善に好ましい食事療法として、多様な食事パターンに基づいたテイラーメイドの食事指導ができることが好ましいと考えられます。最近は、糖質制限食の推奨も散見されるようになりましたが、まだ、日本では環境負荷や持続可能性といった視点が欠けています。今後、EcoAtokinsのような方向に、日本の糖質制限食のグループも進むべきと考えています。