アントシアニンにはさまざまな薬理効果があるようだ。今回は脂質代謝の改善である。

そのほかには

血管機能改善効果や2型糖尿病のリスク低下作用、心筋保護作用、抗炎症作用などである。

今回は脂質代謝改善に関する新たな知見が出てきたようだ。

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臨床内分泌代謝学の専門ジャーナル(電子版)に、アントシアニンによる脂質代謝改善作用を示した臨床研究が報告されていました。
(J Clin Endocrinol Metab. 2013 Nov 27)

アントシアニンは、植物に存在する機能性食品成分・ファイトケミカル類の1種です。
赤紫色の色素であり、植物が自らを紫外線や酸化障害、害虫などから守るために産生しており、抗酸化作用や抗炎症作用を有しています。

ブルーベリー/ビルベリーのアントシアニンがサプリメントとして広く利用されています。
今回の研究では、アントシアニンによる脂質代謝への影響およびパラオキソナーゼ(Paraoxonase 1; PON1)への作用が検証されました。

(パラオキソナーゼ: PON-1は、血液中にてHDLの アポリポ蛋白A1に結合して存在し、リポ蛋白の酸化保護作用を示す抗酸化酵素の一つです。
動脈硬化や生活習慣病との関連が知られており、脂質異常症では血清PON-1活性は低値を示します。)

具体的には、脂質異常症患者122名を対象に、・アントシアニン投与群(320mg、分2)・偽薬投与群
の2群(各群n = 61)について24週間の介入が行われました。
(二重盲検ランダム化偽薬対照試験として実施。)

解析の結果、偽薬群に比べて、アントシアニン投与によって、HDLコレステロールの有意な増加(P < 0.018)、LDLコレステロールの有意な低下(P<0.001)が認められました。

アントシアニン投与群では、偽薬群に比べて、HDL-PON1 活性の有意な亢進も見出されています。
(P<0.001)

また、HDLのコレステロール引き抜き能 (cholesterol efflux capacity、コレステロール排出能)は、
偽薬群に比べて、
アントシアニン群投与群において有意な亢進を認めています。(0.2% increase) (P<0.001)

さらに、アントシアニン群では、HDL値やアポリポタンパク質A1で補正後でも、
HDL-PON1活性の亢進と、HDLのコレステロール引き抜き能の増加との間に有意な相関が見出されました。

その他、アントシアニン群では、HDL-PON1活性の阻害によって、HDLの抗酸化能の抑制、
HDLのコレステロール引き抜き能の抑制が示されています。

以上のデータから、脂質異常症患者において、アントシアニンサプリメントの投与は、
HDL- PON1活性亢進を介して、HDLのコレステロール引き抜き能の増大により、脂質代謝改善作用をもたらす、と考えられます。

脂質異常症・高脂血症対策のサプリメントの定番は、紅麹です。
最近では、スタチン不耐症の脂質異常症患者に対して、紅麹投与による脂質代謝改善作用を示したランダム化比較試験も示されました。

紅麹に関するエビデンスでは、
・スタチン不耐症に対する紅麹投与による脂質異常症の改善効果
・心血管イベント発生の抑制効果
が知られています。

紅麹は、スタチンと比べて、安全性・有効性・経済性に優れたハーブサプリメントです。
サプリメントの経済性(費用対効果):医薬品との比較
(なお、スタチンおよび紅麹のいずれも、コエンザイムQ10との併用が必要と考えます。)

コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。

還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。

したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。

一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。