「「厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成20年には104.1万人と12年間で2.4倍に増加しました。「患者調査」は、医療機関に受診している患者数の統計データですが、うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており、実際にはこれより多くの患者がいることが推測されます。

 

気分障害患者数の推移

http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2010/07/03.html 」」

 

現状からかんがみても栄養学的なアプローチも試してみる必要があると思うのだが、なかなか食事やサプリメントの治療は進まないのが現状である。 

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http://www.dhcblog.com/kamohara/

臨床精神医学の専門ジャーナルに、重症うつ病におけるオメガ3系必須脂肪酸値を調べた臨床研究が、米国のグループ(Columbia University)から報告されていました。

(J Clin Psychiatry. 2013 Jul;74(7):732-8)

オメガ3系必須脂肪酸(EPAやDHA)は、抗うつ作用、うつ病リスク低減作用を有しています。
20年ほど前に報告された疫学研究において、魚類の摂取量(=オメガ3系必須脂肪酸の摂取量)が、うつ病のリスクと負の相関にあることが示され、それ以来、注目されています。

EPAおよびDHAによるうつ病リスク低減効果・抗うつ作用には十分なエビデンスが存在します。
さて、今回の研究では、
重症うつ病に合併した不安障害と、オメガ3系必須脂肪酸との関連が調べられました。

具体的には、2006年10月から2010年5月の間に登録された、投薬治療を受けていない重症うつ病(DSM-IV)患者を対象に、不安障害を合併した重症うつ病患者(n = 18)、
不安障害を有していない重症うつ病患者(n = 41)
および、
健康なボランティア(n = 62)の3群を対象に、
うつ病および不安障害の重症度が17項目HDRS(Hamilton Depression Rating Scale)にて評価され、

血中のオメガ3系必須脂肪酸(EPA、DHA)の測定、
オメガ6系脂肪酸(アラキドン酸)の測定が行われました。
(被験者は、18歳から73歳、平均年齢35.8 ± 12.6歳)

解析の結果、まず、健常者に比べて、重症うつ病患者では、血中のDHA値とEPA値が低く、
アラキドン酸:EPA値が高い(アラキドン酸値が高い)ことが見出されました。
次に、
不安障害合併の有無による比較では、不安障害のない重症うつ病患者に比べて、不安障害を合併した重症うつ病患者では、DHAとEPAが低値であり、アラキドン酸:EPA比が高値であったということです。
なお、
うつ病の重症度とオメガ3系必須脂肪酸との間の相関は見出されませんでしたが、不安障害の重症度は、DHA値、EPA値と負の相関を示し、アラキドン酸:EPA比と正の相関を示しました。
(つまり、アラキドン酸が多いと、不安障害合併が多い、ということです。)

以上のデータから、健常者に比べて、重症うつ病患者では、オメガ3系必須脂肪酸(DHAやEPA)が低く、
アラキドン酸が多いことが示唆されます。

また、この相関は、不安障害を合併した重症うつ病患者においてさらに顕著でした。
EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。

うつ病についての研究として、次のような報告があります。
DHAによる重症うつ病改善作用
うつ病に対するEPAの効果
抗うつ作用のあるサプリメントレビュー
セントジョーンズワートはSSRIと同等の抗うつ作用を示す
うつ病治療におけるセントジョーンズワートの費用対効果
うつ病へのビタミンDサプリメント投与
緑茶による報酬学習の改善と抗うつ作用
野菜と果物の摂取が多い高齢者はうつ病リスクが低い

若年女性における葉酸の抗うつ作用

うつ病ではビタミンDが低値
コーヒーの摂取が女性のうつ病リスクを抑制
ビタミンB群が脳卒中後のうつ病を予防