リコピンによる肥満での抗炎症作用 

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今月の栄養学の専門ジャーナルに、リコピンによる肥満での抗炎症作用を示した基礎研究が報告されていました。(Br J Nutr. 2013 May 1:1-7.)

一般に、肥満対策のサプリメントでは、脂肪分解促進や吸収抑制といったメカニズムが考えられます。
具体的には、フォースコリーダイエットパワー
などに含まれる機能性食品成分です。

一方、肥満やメタボリック症候群の病態には、慢性炎症が存在します。
慢性炎症は、肥満だけではなく、がんや動脈硬化性疾患など生活習慣病全般に共通する病態です。
そこで、
肥満やメタボリック症候群に対して、抗炎症作用を有する機能性サプリメントを投与
する、
というアプローチがあります。

さて、今回の研究では、肥満モデル動物において、リコピンによるアディポサイトカイン類の発現が調べられました。
具体的には、Wistar雄ラットを用いて、対照群(n=6)、高エネルギー食投与群(n=12)の2群について6週間の介入が行われ、その後、高エネルギー食投与群(肥満誘導群)を2群に分け、

高エネルギー食投与群(n=6)、
高エネルギー食+リコピン投与群(n=6)についてさらに6週間の介入が行われました。
(リコピンは10mg/kg体重/日の用量で投与。)

解析の結果、まず、血漿中のリコピンは、対照群と高エネルギー食投与群では検出されませんでしたが、
高エネルギー食+リコピン併用群では、24 nmolでした。
また、リコピン投与は、体重や体脂肪などの体組成には影響を与えませんでしたが、
レプチン、レジスチン、IL-6は、脂肪細胞での遺伝子発現および血中濃度のいずれも有意に低下したということです。

その他、リコピン投与によって、脂肪細胞におけるMCP-1遺伝子発現の有意な抑制も見出されています。
以上のデータから、リコピン投与は、肥満において、慢性炎症の抑制作用を有することが示唆されます。

今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
トマトには、カロテノイド系ファイトケミカルの1種であるリコピン(リコペン)が含まれています。

赤色色素のリコピンは、抗酸化作用や抗がん作用を有しており、疫学研究では、肺がんや前立腺がん、大腸がん、脳卒中のリスク低減効果が示されています。