ココアによる抗炎症作用@肥満症 [20130319()] 

ココアは高血圧症、動脈硬化疾患、ガンに効果があることが分かっている。
肥満に対しても炎症を抑制するので血管損傷が減ると考えれば動脈硬化に対する効果も納得が行く。

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今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、ココアパウダー投与によって、肥満に伴う炎症が抑制されたという基礎研究が、米国のグループから報告されていました。(Eur J Nutr. 2013 Mar 15.)

カカオにはポリフェノール類が含まれており、チョコレート(ダークチョコレート)やココアなどポリフェノール含有量の多いカカオ製品による機能性が知られています。
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。

さて、今回の研究では、高脂肪食負荷によって肥満を誘導したマウスにおいて、ココアパウダーによる慢性炎症への効果が調べられています。
(肥満やメタボリック症候群では、慢性炎症の病態が様々な障害を引き起こすことが知られており、抗炎症作用を有する機能性食品成分の働きが注目されています。)

具体的には、C57BL/6J雄マウス(n = 126)を用いて、・低脂肪食投与群(10%脂質エネルギー比)
・高脂肪食負荷群(60%脂質エネルギー比)に分けて、18週間の介入が行われました。

8週間の時点で、高脂肪食負荷群は、・高脂肪食負荷群あるいは・8%ココアパウダー添加高脂肪食負荷群
の2群に分けられて、続く10週間の介入が継続されています。

解析の結果、高脂肪食負荷群に比べて、ココアパウダー添加高脂肪食負荷群では、体重増加率が有意に抑制され(15.8 %)、便中脂肪排泄量が有意に増加した(55.2 %)ということです。

また、高脂肪食負荷群に比べて、ココアパウダー添加高脂肪食負荷群では、インスリン抵抗性亢進が抑制(HOMA-IRが改善)され、肥満に合併する脂肪肝の重症度が軽減(ALTの低下や肝中性脂肪の減少)しています。

さらに、高脂肪食負荷群に比べて、ココアパウダー添加高脂肪食負荷群では、血中の炎症惹起サイトカイン類の有意な低下(IL-6, 30.4 %)、MCP-1の有意な低下(25.2 %)、
善玉のアディポサイトカインであるアディポネクチンの有意な増加(33.7 %)が認められました。

その他、ココアパウダー添加高脂肪食負荷群において、
炎症惹起に関与する複数の分子(Il6, Il12b, Nos2, and Emr1)の遺伝子発現の有意な低下も見出されています。

以上のデータから、高脂肪食においてカカオパウダーの併用投与は、体重増加を抑制し、インスリン抵抗性を改善し、炎症惹起サイトカイン類を抑制することが示唆されます。

ココアやチョコレートには、カカオポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの抗酸化作用を介した機能性が注目されています。
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。

健康増進・疾病予防という目的では、カカオの含有量が多いダークチョコレートの摂取がポイントです。
また、ココアパウダーを用いたココア飲料では、糖分の過剰摂取に注意が必要です。
チョコレートポリフェノール/フラボノイドによる高血圧改善効果は、メタ解析でも示されています。