結局のところ、カカオには血管内皮細胞を保護する働きがあることが分かっている。ただ、チョコレートという糖分を含んだ製品になると良くない作用があるということである。

**************

http://www.dhcblog.com/kamohara/category_36/

高血圧研究の専門ジャーナルに、肥満の高血圧患者において、ダークチョコレートの摂取による血管内皮機能改善作用を示した臨床研究が、ブラジルのグループから報告されていました。(Int J Hypertens. 2012;2012:147321)

チョコレートには、カカオポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの抗酸化作用を介した機能性が注目されています。
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。

健康増進・疾病予防という目的では、カカオの含有量が多いダークチョコレートの摂取がポイントです。
チョコレートポリフェノール/フラボノイドによる高血圧改善効果は、メタ解析でも示されています。
さて、今回の研究では、
肥満の高血圧患者におけるダークチョコレートの血管内皮機能改善への作用が調べられました。

具体的には、18歳から60歳までの軽症高血圧患者22名を対象に、(被験者は、医薬品は摂取していない患者。BMIは25.0-34.9で肥満者)1日あたり70%カカオ含有ダークチョコレート50グラム(2135mgポリフェノール含有)を4週間投与しています。

血管内皮機能は、peripheral artery tonometry(Endo-PAT)にて評価されています。
20名の被験者(男性10名)が試験を完了しました。
解析の結果、介入の前後で、反応性充血指数を指標とする血管内皮機能は、有意に増加(改善)したということです。(1.94 ± 0.18 to 2.22 ± 0.08, P = 0.01)
なお、体組成や脂質代謝、血圧、炎症マーカーには有意な変化は示されていません。

以上のデータから、肥満を有する軽症高血圧患者では、ダークチョコレートによる血管内皮機能改善が示唆されます。
今後、疾病予後や心血管イベントへの影響といった点から、臨床的意義の検証が期待される分野です。