医者としてコロナの対策には納得いかないこともあるが、日本の対策はよくできていると思う。欧米で医療崩壊した大きな原因は大衆がパニックを起こして病院に殺到し、そこでクラスター感染し、重症者が増えてICUが回らなくなったことだろうと思う。その点、日本は厳格に重症と軽症とを区別し治療している点はよくできていると思う。それでもICUが稼働限界に達しつつあるというからまだまだ気は抜けない。

そもそも外出や他人との接触の自粛は老人を視点で語られるべきだと思う。今回の弱者は老人である。老人自体の外出は厳しく制限して、老人と接する人の振る舞いも厳重に制限するべきだ。老人施設の職員は飲みに出るなど論外だし、毎日の仕事上での感染防止対策は厳重にするべきだ。また、老人と同居している人も同様に制限しなければ、感染防止対策を厳重にしなければどんどん重症者が増えてしまう。そういう視点で対策を実行するべきである。

ここからは医者としてより、一般の市民として経済に関心があるものとしての視点だ。
コロナで自粛がされているが、経済が心配である。ウイルスの根絶する前に人間の活動が自粛を続ければ、経済が大不況になってしまう。大不況になると失業が増えて生活保護が増える。老人の年金が払えなくなり、増税となり、ますます経済が破たんする。そうなる前に政治家は考えてほしい。経済とコロナ対策の両立だ。これを対立的なものにしてはいけない。あくまでウイルスとは共存する

コロナは自粛で根絶するのか?RNAウイルスと言う常に変化するウイルスはワクチンや
治療薬を発明するのも困難だ。人類は困難を乗り越えるのが得意だからいずれは薬やワクチンもできると思うが
今年中に出来るだろうか?さらに人類みんなに接種することが出来るのはいつになるだろう?

自粛を続けて経済は大変なことになってきている。どの業種が良くてどの業種がいいとか詳細は経済専門家が詳しいだろうが、私の市民感覚でいうと外出できない、旅行に行けない、学会に行けない、患者さんが外出できず外来治療を避けている気もする。

レストランや夜の店、居酒屋、飲み屋さん、などが直接被害を受けているようだ。国としては同じ納税者であるのだから等しく救済をするという話になってほしい。

さて、コロナ対策である。私が言いたいことは次の3つである。

① 自粛を一定行った後は経済活動を再開する
② その代わり年齢別、基礎疾患別に外出自粛、仕事許可、厳格な防御とレジャー規制
③ 疫病対策で生活習慣を変える

①であるが、欧米では自粛の結果、死亡者数が減ったり感染者数が減ってきている。下に移した記事はニューヨークに関する本日のニュースである。経済活動の再開について検討しているようだ。自粛によってアメリカでは先週末ですでに1600万人の失業者が出てきている。日本も本来はその3分の一の500万人程度の失業者が出てもおかしくはない。
例えばANAやJALなどは航空便が減便になっておそらくは平常時の3分の1程度の売り上げだろう。航空会社の現金資産が無くなるのも時間の問題で、すると倒産が近い。
しかし、さすが日本の会社である。解雇はなるだけしないという美徳、というか労働者を守るシステムが働いている。そのおかげでまだ日本では失業者が増えているとは聞いてない。しかし、足元では確実に失業準備段階である。だから経済活動の再開はなるだけ早くすべきである。
もう一つ、経済活動の再開をするべき理由がある。それはこのウイルスとの戦いは長期戦になると言う事だ。すぐに薬はできないし、根絶も困難である。かつてAIDSが感染流行した時に、コンドームの使用と性的行動の自粛によって感染拡大を止めることが出来た。そして抗ウイルス剤の発明で今は沈静化している。しかし、根絶はしていない。
今回も根絶は無理のようである。ウイルスが姿を変えるRNAウイルスであるせいだ。これは二重鎖らせん構造のDNA違い、遺伝子変異を修復できないからだ。そのため、根絶は難しく、③に書いているように生活習慣の変化をもたらすかもしれない。

NY州「最悪脱した」と知事 コロナ死者、1万人超える

4/14(火) 1:59配信

AFP=時事

【AFP=時事】(更新)米国での新型コロナウイルス流行の中心地となっているニューヨーク州のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は13日、州内のウイルスによる死者が1万人を超えたと発表した一方で、同州での状況は「最悪の状況を脱した」と述べた。

【写真】米ニューヨーク市内を巡回するニューヨーク市警

同州では過去24時間で671人が死亡し、累計死者数は1万56人に増加。1日の死者数は今月5日以降で最低となった。

クオモ氏は記者会見で、感染患者の入院と人工呼吸器装着の件数がいずれも下がっていることから、流行状況が変動の少ない時期に達したことが示唆されると説明。「正常化への道を進み始められる状況になった」とし、経済活動の段階的再開に向けた計画の策定を進めていることを明らかにした。【翻訳編集】 AFPBB News

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① 自粛を一定行った後は経済活動を再開する
② その代わり年齢別、基礎疾患別に外出自粛、仕事許可、厳格な防御、レジャーの規制
③ 疫病対策で生活習慣を変える

次に②である。結論を言うと70歳以上で基礎疾患を持つ人々は外出禁止である。次に20代から60代までで仕事をしている人は仕事許可、レジャー規制である。仕事は厳格な防御を行うことが必要である。たとえばマスクと防護ゴーグルは必須。不特定多数を相手するスーパーマーケットなどの店員は防護シールドなどもあればいいし、手袋や防護服も毎日交換すればいいと思う。仕事をするならこれくらいの防御はしないと駄目である。それでも自粛で経済活動を止めるよりはよいではないか。レジャー活動も条件を厳しくつけて行えばいいと思う。3密になるレジャーは原則禁止して、するなら自己責任だ。これらの規制はもし独身者で独居ならまだ緩くてもいいかもしれない。
もし罹患したら自分だけが入院か施設ホテルに入ればいいからだ。しかし、同居の老人がいる場合は命にかかわるので自粛するべきだろう。

worldmeterの資料を掲載する。年齢別の死亡者数を見ると明らかに高齢者に死亡者が多い。医療崩壊も高齢者が亡くなったり重症化するから起きるのであって、軽症者が増えても家で寝るか施設ホテルなどで寝ていれば治るのだから医療崩壊も起きない。だから高齢者に対する規制を厳しくする必要がある。

AGE
DEATH RATE
confirmed cases
DEATH RATE
all cases
80+ years old
21.9%
14.8%
70-79 years old
8.0%
60-69 years old
3.6%
50-59 years old
1.3%
40-49 years old
0.4%
30-39 years old
0.2%
20-29 years old
0.2%
10-19 years old
0.2%
0-9 years old
no fatalities

男性のほうが女性の倍近く死亡率が高いため、男性は要注意だ。タバコの喫煙歴のせいか?
飲酒などの習慣が関係するのかはまだデータがない。

SEX
DEATH RATE
confirmed cases
DEATH RATE
all cases
Male
4.7%
2.8%
Female
2.8%
1.7%

基礎疾患は大切だ。心臓血管疾患と糖尿病がリスクファクターと言えるだろう。そのほかにも慢性呼吸器疾患、高血圧方癌などを持っている人はしばらく外出の自粛をしたほうが良いだろう。男性であるリスクはその点癌であるリスクに比べたら低いので気にするかどうかである。

PRE-EXISTING CONDITION
DEATH RATE
confirmed cases
DEATH RATE
all cases
Cardiovascular disease
13.2%
10.5%
Diabetes
9.2%
7.3%
Chronic respiratory disease
8.0%
6.3%
Hypertension
8.4%
6.0%
Cancer
7.6%
5.6%
no pre-existing conditions
0.9%

① 自粛を一定行った後は経済活動を再開する
② その代わり年齢別、基礎疾患別に外出自粛、仕事許可、厳格な防御、レジャーの規制
③ 疫病対策で生活習慣を変える

最後に③生活習慣を変える
である。これが一番難しいかもしれない。感染の流行がもし数年間続くとしたら、スポーツジムへ行く趣味を持つ人は相当の習慣の変化をしなければならない。スポーツを野外でするものに変えるのか、スポーツジムでの防御をもっと厳格にするかだ。体温計測と、消毒、三密を作らない工夫をするとかだ。現在スーパーマーケットやコンビニでは会計の場所にアクリル板で防御空間を作っているところも出てきている。

お店に入るときに全身の消毒をするとかの重度の防御も必要になるかもしれない。また、夜の居酒屋や飲み屋、ラウンジ、食事処に行くと言う事に関しても習慣を変える必要があるかもしれない。お店の感染防御努力が出来ているところでないと生き残れないだろうし、規制がかかるかもしれない。また夜に外食をするという習慣を変える必要が出るかもしれない。
いずれにしても、今までとは違う世界がこれから出現すると考えておいたほうが良いと思う。

ご老人は自粛が続くため体力低下に留意する必要がある。徹底した防御を行い散歩に出るとか、風通しが良い人のいない畑で仕事して体力をつけるとかも良いだろう。都会的な密集地に住んで狭いところで息が詰まりそうになる生活と、田舎でのんびり空の下で農業をする生活のどちらが自分にとって良いかを考え直すことになるかもしれない。価値観は多様である。今まで、都会で知的に、好奇心を刺激するような生活を老後に考えていた人もいるだろう。
また一方で自然の中で植物や動物と共に暮らして自然の営みを感じる生き方が良いとおもっていた人にとっては田舎生活を後押しすることになるかもしれない。

最後に追加して一言、人類は地球上の生物を100万種以上絶滅の危機にさらしてきた。森林を破壊して二酸化炭素を大量に排出してきた。地球を一つの生命と考えた場合、人間は傍若無人なウイルスだろう。感染し、増殖し、他を絶滅している。
その中で人類は人類に都合の良い文明の発達をし、環境を変えてきた。その中で地球の生き物の多様性や種の保存の法則に則って、ウイルスも存在するとしたら何か人間の在り方が問題なのではないか、この文明を無限に発展させる生き方には問題がないのか、もう一度考えてみてもいいと思う。