置き換え食(タンパク質含有フォーミュラ食)による肥満とメタボ指標の改善効果
ダイエット外来を始めたがの開業する前からだから、千葉の病院で勤務していた時からである。その当時僕自身がトレーニング三昧の日々を送っていて、置き換え食=MRP=Meal replacement をよく食べていた。当時はEASというメーカーが全盛期で非常に味も良くてたんぱく質がたっぷり入ったMRPが売られていた。アメリカへ研修に行くたびに購入して帰り知人に配っていた。
MRPのダイエット効果は明らかで、今現在のダイエット外来では大豆由来のプロテインを使っている。筋肉をつけるためには乳清=ホエイプロテインがいいのだが、医学的理由により大豆由来を使用している。
ダイエットで一番間違っているのは食べないダイエットであるが、たんぱく質を食べないダイエットはリバウンド必至である。今はネットの情報がたくさんあるが、理屈通りにいかないのだから、ぜひ専門家のところに来てほしい。
ちなみに、ライ〇〇〇などの運動系で無理やり痩せるダイエット法は40歳を超えたらきつく感じるだろうし、ダイエット後のリバウンド対策も金額がものすごくかかるので無理を感じる。
1か月30万円もかけてライ〇〇〇に行ってもやっていることはMRPを使った食事制限と運動である。ダイエット外来でやっている事と違いはしない。違うのは値段だけである。
************************
イギリス栄養学会の専門ジャーナルに、肥満者に対するタンパク質含有フォーミュラ食(置き換え食)の減量効果と心血管リスク改善作用を示した臨床研究が、インドのグループから報告されていました。(Br J Nutr. 2017 Jun 27:1-10.)
肥満に対する食事療法として、フォーミュラ食の有効性が確立しています。
肥満に対して用いられるフォーミュラ食は、 低エネルギーであり、必要十分量のたんぱく質・ビタミン・ミネラルを含む栄養調整食品です。
具体例:1食あたり200kcal未満、たんぱく質20グラム、 低糖質・低脂質. ビタミン・ミネラルはRDAの3分の1. 食物繊維等の機能性食品成分も.
利用例:1日3食のうち、1食あるいは2食をフォーミュラ食に置き換え.
フォーミュラ食は、肥満の改善、減量だけではなくて、リバウンド予防のためにも有用です。
今回の研究では、インド系アジア人の肥満/過体重に対して、
高タンパク質含有ミール・リプレイスメント(置き換え食)による、体重、メタボリック指標、脂質、炎症マーカーへの作用が検証されました。
具体的には、12週間のオープンラベル並行群間ランダム化比較試験として、
肥満/過体重の男女122名を対象に、・タンパク質含有置き換え食投与群、・対照群
の2群について、 体組成や内分泌代謝(糖・脂質代謝)指標、炎症マーカーなどが調べられています。
解析の結果、 偽薬群に比べて、 高タンパク質置き換え食の投与群では、
体重の有意な減少、4·9 % (95 % CI 3·8, 6·1; P<0·001)
ウエスト周囲径の有意な減少、3·8 % (95 % CI 2·5, 5·1; P<0·001)
体脂肪率の有意な減少、6·3 % (95 % CI 4·3, 8·2; P<0·001)
収縮期血圧の有意な低下、2·8 % (95 % CI 0·4, 5·1; P=0·002)
拡張期血圧の有意な低下、3·5 % (95 % CI 0·7, 6·3; P= 0·01)
ブドウ糖負荷OGTT後の血糖値の有意な低下、
7·3 % (95 % CI 1·4, 13·1; P=0·02)
総コレステロール値の有意な低下、2·5 % (95 % CI 1·6, 3·5; P<0·001)
LDLコレステロール値の有意な低下、7·3 % (95 % CI 1·7, 12·9; P<0·01)
ALT値の有意な低下、22·0 % (95 % CI 2·1, 42; P=0·03)
AST値の有意な低下、15·2 % (95 % CI 0·9, 29·5; P=0·04)
が見出されました。
また、 対照群に比べて、 置き換え食投与群では、BMIの減少幅(絶対値での減少)が0.9であり、 対照群と比べて有意な減少を示しまた。
(-0·9 %, 95 % CI -1·4, -0·5; P<0·001)
血中の中性脂肪値の有意な低下も見出されています。
11·9 mg/dl (-11·9 mg/dl, 95 % CI -21·1, -2·7; P<0·01)
さらに、 空腹時インスリン値の有意な減少、(3·8 v. 0 %、P=0·002)
OGTT後のインスリン値の有意な減少、(50·3 v. 77·3 mU/l、P=0·005)
hs-CRP値の有意な減少(16·7 % v. 0 %, P=0·002)
も見出されました。
以上のデータから、 南アジア系の肥満/過体重者において、
タンパク質含有置き換え食による減量、糖代謝、脂質代謝の改善および肝機能の改善、抗炎症作用が示唆されます。