タトゥーは医療なのか? 国会でも論戦、厚労相の答えは…

 

タトウーは医療行為ではないが、衛生的な操作が必要であり感染症になるリスクが高い行為である。そう意味で医療行為ではないが、医療的な規制が必要な行為であることは間違いないだろう。

もともと卑弥呼の時代から呪術的な側面で入れ墨がやられていた。その後江戸時代になると犯罪者を差別、区別するために入れ墨が行われた歴史がわが国にはある。

だから、一般市民からはいまだにタトウーに対しては拒否的な感情が伴っている。それに感染症も加わったならばさらに拒否的になるだろうし、やくざや半グレのような反社会勢力が入れ墨の愛好家であることも一般人からは拒否される側面だ。

格闘家やスポーツ選手たちが入れ墨を入れているが、彼らもある意味みずからサラリーマンのように社会の歯車になることを拒否した意思表明で入れ墨を入れているように見えるし、ミュージシャンも同じである。そのスポーツや音楽で食えない人々が反社会勢力とくっついて薬物中毒になったり、薬物の販売などにかかわるのもたまにニュースで見聞きすることだ。

まあ、音楽やスポーツは社会のおまけみたいなものである。医療や福祉、行政、法律、または建築や建設などのように社会に必要なものではない。あまりものだ。余裕のある国でしか職業として成立しないのだ。ただ、そのスポーツや音楽は見世物として、ショービジネスとして成立しており、そこに携わる人たちが食っていけるから仕事として成立しているのだ。世界が貧しかった時代にはそれらは職業にすらならない、単なる見世物だったのだ。きつい言い方だがそれが歴史の真実だ。わずかに貴族階級に属する人々の嗜みとして成立していたのは東洋でも西洋でも同じである。

ただ、感染症が社会に蔓延することは医療的には防御する必要がある。その水際での防御がこのような法律解釈になったのだろう。医師法違反という高いハードルを掲げて入れ墨文化もろとも入れ墨を撲滅したいという思惑もあるのだろう。

入れ墨=感染症の恐れ+反社会勢力+ファッションであるから、ファッションの領域の人々は何としてでも彫氏たちに芸術的な入れ墨、いやタトウーを入れる権利を与えてほしいのだろう。世界の潮流を見ると、厚労省の規制の下で衛生管理能力のある人たちに免許を与えるなどの規制や、実施報告書の提出によって管理する必要が出てくるだろう。

 

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https://withnews.jp/article/f0160816001qq000000000000000W01110101qq000013730A

タトゥーは医療なのか? 国会でも論戦、厚労相の答えは…

 

医師以外がタトゥーを入れるのは、犯罪にあたるのか――。医師法違反容疑による彫り師の摘発が相次ぐなか、国会でも法解釈をめぐる議論が始まっています。衆議院の厚生労働委員会でこの問題を質問した、民進党の初鹿明博議員に話を聞きました。

 

 

 

医師に刺青の絵は描けません

 

――通常国会で医師法のタトゥー規制について質問したのはなぜですか。

 

大阪の彫り師が医師法違反で摘発されて裁判になるという記事を読み、動向が気になっていました。医師でないと刺青を入れられないというのは、どう考えてもおかしい。医師に(刺青の)絵は描けませんから。

 

彫り師の仕事は、医師の業務を浸食しているわけでも、競合しているわけでもないですよね。

医師がタトゥーを彫ることは現実的なのか

 

出典:https://pixta.jp/

 

 

届け出制度にし衛生管理

 

――初鹿さんの質問に対して、塩崎恭久厚生労働大臣は「全く医師免許を有しない者が業として行えば、医師法第17条に違反するものと考えるという考え方自体はあり得ることだということだと思います」と答弁しました。

 

「考え方自体はあり得る」ということは、「そうではない考え方もあり得る」ということ。塩崎大臣からは「文化的な側面もある」「国民的な議論を」という趣旨の発言もあり、あまり後向きな印象は受けませんでした。

 

私自身、何らかの規制は必要だと考えています。感染症のリスクもありますし、衛生面や墨の成分などを管理するためにも、きちんと法整備した方がいい。届け出制度にし、しっかりした衛生管理のもとでの施術は認めるような形が、世界の水準にも合っているのではないでしょうか。

適切な知識がないと感染症のリスクも…

 

出典:https://pixta.jp/

 

 

まずは署名を集めることから

 

――法整備に向けて、どういったプロセスを想定していますか。

 

はり師、きゅう師や柔道整復師などには法律で「医業類似行為」が認められています。刺青についても、新たに法律をつくることはできない話ではないんです。

 

ダンス営業規制に反対した風営法の改正運動のように、まずは署名を集めること。また、国会議員のなかでもこの問題に対する意識はあまり高くないので、院内で超党派の勉強会をしていけたら、と考えています。与党の人たちとも一緒にやっていきたいですね。

 

ダンス文化推進議員連盟の議員に提出した署名=2013520

 

出典: 朝日新聞

 

 

彫り師の側の自助努力も必要

 

――日本社会には、刺青やタトゥーに対する根強い嫌悪感があります。風営法の時以上に、立法化のハードルは高いのではないでしょうか。

 

刺青=暴力団、ヤクザといったイメージはありますし、実際つながりがある人もいるでしょう。でも、ファッションで入れている人はまったく別ですからね。

 

ブラックなイメージを払拭するためには、彫り師の側の自助努力も必要です。業界として暴力団との関係をきちんと断ち切っていかないといけない。法律をつくることで、むしろ暴力団を排除しやすくなるのではないかと思います。

 

グレーなままではいられない局面

 

――現状ではタトゥー業界が一枚岩にまとまっているとは言えず、彼らがどのような法制度を望んでいるのか、外側から見えづらい部分もあります。

 

ダンス問題の時も、(改正運動の過程で)クラブの業界団体が立ち上がりました。業界団体があった方が、我々としても動きやすいのは確かです。摘発の恐れもあるなかで、「私たちの仕事をとらないでくれ」と堂々と言えるかどうかですね。

 

――彫り師のなかにも、白黒ハッキリさせずにグレーのままにしておきたい人もいるのでは。

 

実際に摘発が起きている以上、グレーなままではいられない局面になってきていると思います。

 

浴場の入り口に掲げられた「タトゥーお断り」の注意書き

 

出典: 朝日新聞

 

 

いまのままでは、ヤミに潜ってやるだけ

 

――タトゥー文化に対して、どのような思いを抱いていますか。

 

私は東京の下町の生まれで、銭湯に行けば刺青の入った鳶のおじさんがいました。子どもだから「なんで絵が描いてあるの」なんて聞いたりして(笑)。学生の頃にバンドをやっていた友達も、米軍基地にある店でタトゥーを入れてもらっていました。

 

芸能人やミュージシャン、スポーツ選手にもタトゥーを入れている人は多い。2020年のオリンピックでは、海外からタトゥーを入れた選手もどんどんやって来ます。有名選手がタトゥーのせいでお風呂に入れないとなったら、ニュースになっちゃいますよね。

 

また、そうした人たちに憧れて、タトゥーを入れようと考える若者も増えてくるでしょう。いまの法律のままでは、業者はヤミに潜ってやるだけです。彫り師に頼めないとなれば、自分でタトゥーを入れる人も出てくるかもしれない。かえって危険ですよ。やはり、きちんとした法整備をしていくべきではないでしょうか。

 

○初鹿明博議員 古代から、卑弥呼の時代からずっと世界中でやり続けられている行為。最近のタトゥーとか、非常に芸術的なわけですよ。これを医療だといって、では、お医者さんがタトゥーを彫れますか。彫れないですよ。なぜなら絵を描けないからですよ。それを医療だといって規制をするのは、少しやり過ぎではないか。

 

私が調べた限り、海外では医療としているところは一つも見つかりませんでした。ただ、例えば、アメリカだと、州によって異なるんですが、ライセンス制にしていて、きちんと規制をかけております。イギリスは登録制で、衛生環境等で規制が定められていて、監督官庁に立ち入り権限が認められているわけですね。また、イタリアも法律はないんですが、ガイドラインがある。フランスは届け出制だということですし、オランダもライセンス制。オーストラリアもそうなんですね。

 

そういうことを考えると、医療として規制をするんじゃなくて、海外の例のように、きちんと法律を別個つくって、それで届け出制なり許可制なり、または免許制でもいいですけれども、きちんと管理をするようにしたらどうなのかなと思うんですよ。

 

○塩崎国務大臣 先生からこの御質問をいただくということで、私も厚労省の中でいろいろ議論をしました。

 

個別の事案は、もちろん、私は判断をする、コメントする立場にはございませんが、今の解釈は、入れ墨行為というのは、針先に色素をつけて皮膚の表面に墨などの色素を入れ込むという、侵襲をする、そういう行為であって、当然、保健衛生上の問題が起こり得る、感染症になる、そういうおそれがありますから、全く医師免許を有しない者が業として行えば、医師法第17条に違反するものと考えるという考え方自体はあり得ることだということだと思います。

 

今はそういう理解で行われているということでございますが、しかし、おっしゃるように、一つの言ってみれば文化的な側面もあると考えられるわけで、もちろん、銭湯なんかに行きますと、入れ墨をした人は入ってもらったら困ると書いてあるような社会的位置づけでもあるということでありますが。

 

いずれにしても、私どもとしては、国民的にどういう考えで整理すべきなのかということを議論していただき、また、先ほど、柔道整復師とかそういうことの例が取り上げられましたが、それぞれの方々はそれぞれの団体としての声を上げられていろいろ議員立法などがなされたということも考えてみると、どういうニーズがあるのかということは、当事者あるいは関係者、こういった方々がどういうふうに考えているのかということを押さえるとともに、社会の中で今申し上げたような位置づけになっているということも含め、しかし一方で、今、先生が御指摘のように、世界でもいろいろ扱いがそれぞれの国によってあるように、それぞれの文化で対処しているわけでありますから、そこのところは議論を深めていただくということが大事なのかなと私は個人的にも思いますし、きょう、厚生労働省の中で議論したときも、そのようなことだというふうに思いました。