男性の生殖に関する悩みは尽きないようだ。私のクリニックでも毎週末になるとED薬を求めて多くの患者さんがやってくる。

食事やサプリメントの摂取で精子の数が増えるようだから是非生活習慣に取り入れてほしいと思う。

もちろん、運動も大切である。

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生殖医学・内分泌学の専門ジャーナルに、亜鉛・アスパラギン酸・コエンザイムQ10による精子の機能への作用を調べた研究が報告されていました。
(Reprod Biol Endocrinol. 2013 Aug 16;11(1):81)

亜鉛は、性腺の発育や機能維持に必要なミネラルです。
アスパラギン酸は、抗疲労作用やスタミナ作用が知られており、滋養強壮目的のドリンク剤などに利用されています。
コエンザイムQ10は、抗酸化作用やATP産生作用を有する機能性成分で、体内でも産生されます。
しかし、加齢とともに内在性コエンザイムQ10は減少し、生活習慣病や慢性疾患でも低下がみられることから、アンチエイジング分野で広く摂取が推奨されているベーシックサプリメントです。

さて、今回の研究では、精子機能に対する亜鉛・アスパラギン酸・コエンザイムQ10複合サプリメントの効果が調べられました。

具体的には、23歳から30歳までの男性から得られた精子検体を用いて、複合サプリメント成分による精子運動能などへの作用がin vitro実験系において測定されています。
(被験者は、健常者24名と、乏精子症/精子減少症患者20名です。)

解析の結果、健常者および精子減少症患者の精子検体の両群において、亜鉛・アスパラギン酸・コエンザイムQ10によって、精子運動能が維持されたということです。
一方、サプリメント成分の非投与時には、精子検体における精子運動能が有意に低下しました。
(in vitro系において、機能性成分を含む培養液と、含まない培養液とでの比較です。)

また、精子減少症患者の精子検体では、亜鉛・アスパラギン酸・コエンザイムQ10によって、精子活性の有意な亢進が認められました。
その他、酸化ストレスなどによって生じる、精子でのDNA障害や脂質過酸化に対して、これらの機能性食品成分による保護作用が見出されています。

以上のデータから、亜鉛・アスパラギン酸・コエンザイムQ10含有複合サプリメントによる精子機能の保護作用が示唆されます。
今後、男性不妊症における妊娠率への影響など、臨床的意義の検証が期待される分野です。

コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)

コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。

一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。