メンタルヘルス(こころの健康管理)をしましょう

 こころの健康管理には色々な方法がある。一般的には以下に乗せるような方法が良いと思われる。

それ以外にも色々とあるだろう。

しかし、私が見ている重症の患者さん、命に関わる疾患の治療には単なるメンタルヘルスでは収まらない現代人の価値観から来るストレスがあると思うのだ。

【メンタルヘルス】 陥りやすい5つの「誤解」/山本晴義(横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)

PHP Biz Online 衆知(THE21) 8月6日(火)17時35分配信

ビジネスマンにとって、ストレスはつきもの。たが無理を重ねた結果、「心の病」の状態まで追い込まれて仕事に支障を来たしたり、休職せざるを得なくなったりする人も増えている。そうした事態に陥らないために必要な取り組みこそ、メンタルヘルス、つまり「心の健康管理」だ。しかし、残念ながら、誤った認識も決して少なくない。そこで、メンタルヘルスの普及に精力的に活動している横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義先生にお話をうかがった。<取材構成:笠原崇寛>

〔誤解〕その1 ――「心の病」になるのは弱い人間だからだ

 いまだに「うつ病になるのは心が弱いからだ」といった考えを持っている人は少なくありません。しかし、それは誤りです。むしろ「心が強い」と思っている人ほど、うつ病になってしまうケースもあります。

 「心の病」にかかってしまう人の多くは、真面目な頑張り屋です。しかし、それが頑張りすぎたり真面目すぎたりすると、過度なストレスとなり、その結果、心と身体が悲鳴を上げてしまうのです。

 生きている以上、ストレスは避けられませんし、心をどんなに鍛えてもストレスを何とも思わない「スーパーマン」にはなれません。何事も「過ぎる」のはよくありません。適度に力を抜いてストレスを軽減・解消しながら、仕事に取り組むことをお勧めします。倒れるまで頑張るのではなく、倒れないように適度に頑張ることが大事です。

 ◇新常識◇頑張りすぎる人のほうが、心のトラブルに陥りやすい

〔誤解〕その2 ――疲れたら「週末」にゆっくり休むといい

 ウイークデーは頑張って働き、週末にゆっくりと休む――。生活のリズムを一週間のサイクルで考えている人がほとんどだと思います。心に元気がない場合も、週末にゆっくりと休めばいいと思っている人は多いのではないでしょうか。

 しかし、「土日はずっと家に籠もって寝ている」といった過ごし方をしてしまうと、生活リズムが狂い、月曜日に仕事に行くのがつらくなってしまいます。私が診ている患者さんも、月曜日、火曜日に調子を崩してしまう人が多いのです。

 大切なのは、その日のストレスはその日に解決することです。趣味の時間を作る、運動する、美味しいものを食べる、早めに寝るなどして、積極的にストレスを解消する時間を持ちましょう。この「ストレス一日決算主義」を心掛けることが、心の健康を保つ秘訣です。これを習慣にすれば、週末も生活のリズムを崩すことなく、より有意義に過ごすことができるようになるはずです。

 ◇新常識◇休日も平日と変わらないリズムで過ごしたほうがいい

〔誤解〕その3 ――身体を休めれば心も元気になる

 体力を使う仕事をしているなら身体を休めるべきですが、現代のビジネスマンの多くが感じる疲れとは、人間関係の悩みや仕事上の問題など、頭や心に関係する疲れが大半です。そんな場合に家でゆっくり休んでしまうと、いろいろと考え込んでしまい、かえって悩みが深刻化してしまうこともあり得ます。

 「頭の疲れ」やストレスを癒すには、実は身体を動かすことが有効です。体操でもジョギングでもスポーツでもいいですから、運動する習慣を持ちましょう。

 「忙しくて、運動をしている暇がない」と言う人もいるかもしれませんが、アメリカのジョージ・ブッシュ元大統領は、大統領の任期中、1日たりともジョギングを欠かさなかったそうです。空いた時間に運動するのではなく、意識して時間を作るといいでしょう。

 ◇新常識◇「心の疲れ」は、身体を動かすことで解消できる

〔誤解〕その4 ――部下の悩みを聞くには「飲みニケーション」がいい

 部下が、何か悩みを抱えているのか、精神的につらそうだ。ここは1つ、飲みにでも誘ってやるか……。そう考える上司の方も多いと思いますが、ちょっと待ってください。部下の状態が深刻な場合は、逆効果になる場合があります。

 「心の病」を抱えた人のつらさは、たとえるなら、38、9度の宿熟を出しているようなもの。会社に来て仕事をするだけでも精一杯なのに、そのあとも拘束されるのは、相当高い負荷になります。ですから、メンタルに問題を抱えた部下の話を聞くなら、勤務時間内を原則とすべきです。

 たしかに、お酒の力を借りれば、部下は悩みを打ち明けてくれるかもしれません。しかし、酒の勢いで話したことは、あとで「言わなければよかった」と後悔しやすいもの。また、酒の席の雰囲気で「言わされた」と感じてしまう人もいるでしょう。

 それに、上司もお酒が入っていますから、部下の悩みを聞くはずが、「俺も苦労しているんだよ」「だからお前は駄目なんだ」と、余計な愚痴や説教をしてしまわないともかぎりません。こうした理由から、私はメンタルの悩みを聞く方法としては「飲みニケーシヨン」をお勧めしないのです。

 親睦を深めるためなら大いに結構ですが、心に問題を抱えていそうな部下の話を聞く場合は、ぜひ心に留めておいてください。

 ◇新常識◇メンタルに関する相談は業務時間内で行なおう

〔誤解〕その5 ――メンタルに問題を抱えた人に「頑張れ」は禁句

 「精神的につらそうな人に『頑張って』と言ってはいけません」という話を聞いたことがあると思います。しかし、必ずしもそうではありません。

 先ほどお話ししたように、問題なのは「頑張る」ことではなく、「頑張りすぎる」こと。ですから私は、患者さんに「頑張りすぎないよう、頑張って」と声をかけることもあります。それに、人によっては「頑張らなくていい」と言われると、自分の存在を否定されたような感じを受けるようです。

 もちろん、ハードルの高いチャレンジをさせるのはやめておいたほうがいいですが、「無理をしないように、頑張って」と声をかけるのは、決して悪いことではないと思います。

 ◇新常識◇「適度に、適当に頑張ろう」とアドバイスをしてもいい

(『THE21』2013年7月号より)

■山本晴義(やまもと・はるよし)
横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターセンター長、医学博士
1948年、東京都生まれ。1972年、東北大学医学部卒築後、各地の病院勤務を経て、1991年に横浜労災病院心療内科部長、2001年に横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長に就任。医学博士、認定産業医、公認スポーツドクター、産業カウンセラー。診療とともに、年間7,000件近くのメール相談や全国各地での講演など、メンタルヘルスの正しい理解の普及に尽力している。『ストレス一日決算主義』(NHK出版)など、著書多数。

山本晴義(横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターセンター長)