シナモンによる降圧効果@2型糖尿病

 あまり普段口にすることは無い植物ではあるが、薬として開発される可能性も出てくるかもしれない。

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今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、2型糖尿病患者におけるシナモンによる血圧への作用を検証したメタ解析が、カナダのグループ(University of Toronto)から報告されていました。(Nutrition. 2013 Jul 15.)

近年、いくつかの予備的な臨床試験で、シナモン(Cinnamomum spp)による糖尿病改善作用/血糖コントロール改善作用が示されています。
シナモンは、高炭水化物食の摂取時において、胃排泄を遅延させ、食後過血糖を抑制することが示唆されています。

さて、今回の研究では、2型糖尿病患者および糖尿病予備軍において、シナモンの短期投与による血圧への影響を調べたランダム化偽薬対照臨床試験のメタ解析が行われました。
具体的には、2000年1月から2012年9月までのMedlineからランダム化比較試験が検索され、
3報の原著が対象となりました。

血圧への影響が解析された結果、シナモンの摂取によって、
収縮期血圧および拡張期血圧の有意な低下作用が認められたということです。
収縮期血圧;5.39 mm Hg (95% CI, -6.89 to -3.89)
拡張期血圧;2.6 mm Hg (95% CI, -4.53 to -0.66)

以上のデータから、
2型糖尿病および予備群において、シナモンの投与による高血圧改善作用が示唆されます。
今後、長期投与試験による検証および心血管イベントへの影響の検証などが期待されます。

近年、2型糖尿病に対するシナモンの効果を示した予備的な臨床研究が複数知られており、注目されていますが、今回のデータでは、高脂肪食時には働きは明確ではないようです。

基礎研究や臨床試験によって、シナモンによる血糖降下作用の分子メカニズムが解明され、糖尿病の血糖コントロールを目的とした適切な用法用量が見出されれば、シナモンサプリメントが補完療法の一つとして考慮されると思います。

(一方、シナモンパウダーなどの形で通常の食品や飲料に使われる量は少量であるため、あまり効果は期待できないと考えられます。)