治療と治癒の違いを理解してください。

 

長年栄養療法を行ってきた。そもそもは平成10年ごろからはじめた「ビタミン外来」がその始まりだった。

栄養素の過不足から病気が出来ている。薬で治療しても治癒しないのは対症療法を行っていて、本当に体が治っているわけではない。

 

そんなことが判って、従来の治療に飽き足らなくなってしまったのがその始まりだった。

当時は整形外科の手術を頑張っていて、大腿骨頚部骨折の人工骨頭置換術の治療成績、その手術時間の短縮に燃えてもいた。もちろん成績はほぼ100%だったし、手術時間は30分前後で圧倒的に短い手術が自慢だった。

 

若い日の慢心である。

 

しかし、栄養療法を学びハタと気が付いた。俺は本当に治癒をもたらせているのか?手術で治療を行っても、もともとの筋力は戻らない。どうしても筋力は衰え、もともとの関節の動きは若干でも制限をされるし、全身の生命力は弱ってしまう。

 

あたり前である。私がこの手で筋肉を掻き分けて切断しその奥にある骨折部位を穿り出しているのである。そして、大腿骨骨頭靭帯を切離して摘出しているのだ。元の構造とはまったく違うもの、とまでは言わないが、近いけれども違うものに変えてしまっているのだ。

 

本来、こんな疑問を整形外科医が持つことがおかしい。十分社会生活も送れるし、元の生活にも戻れるのである。しかし、治癒とは何か???と考えると、これは治療であっても治癒はしていない。本来ならその他の骨折のようにギプス等で固定している間に治癒するべきである。と考えたのだ。私はその意味で整形外科医ではなかったのだろう。治療して社会復帰が出来ればいいと思っていればよかったのに、治癒を考えてしまう考え方を持っていたのだと思う。

 

今、この10年以上、栄養療法や高濃度ビタミンC点滴療法、キレーション療法、UBI療法、温熱療法、などなどやってきて思うことがある。

 

「人間が病気になる理由は、体の問題だけではない。心の問題が大きい。特に現代の難病といわれる、ガン、自己免疫疾患、などについては肉体的な治療は奏効しているとはいえても治癒は望めない」

 

治癒はどうして起こるのか?

治療しても治癒にいたる人と、一時的に奏効しても治癒にいたらず再び悪化する人がいるのはなぜだろうか?

 

まず、人間にとって治癒とは何かを考えてみる必要があると思う。

そして、その考え方が正しければ、いやおそらくはその考えしか正しいものはないと思われるが、我々は人間にとって心の問題が最重要問題だと考えるべきだと思う。

 

私の担当させていただいたがん患者がいる。

乳がんの手術後再発して来院した。本人はもともと自然食や自然に親しみを感じており、手術や抗がん剤には否定的な方だった。

大病院の抗がん剤治療を拒否して、当院の患者さんになった。

 

治療は高濃度ビタミンC点敵を行い、食事も玄米菜食にした。玄米菜食は最低限の必要な食事療法だと今でも思っている。

その上で患者さんは自律神経免疫療法を始めた。再発した乳がんは小さくなったり再び大きくなったりした。

 

患者さんはご主人と意見が合わないことが多かったらしい。いつも揉めていると言っていた。むしろ、最近では話するといらいらして心が乱れるから話しないとも言っていた。

 

そして、患者さんは心を安定させる方向に自分を向けていった。その後半年ぐらいたったころから乳がんは縮小を始めた。どんどん小さくなりその半年後には完全に消えてしまった。

 

これを医学的にはどう考えたらいいのだろうか?ビタミンC点滴と玄米菜食の時には不変だった物が、自律神経免疫療法を行い、自分の精神状態を落ち着かせることを開始したとたんに縮小し始めたのだ。

 

これを偶然と捕らえて無視するのが現代の科学的な医師たちである。

しかし、私は愚鈍な素直な医師でありたいと思っている。

私からすると、効果があったのは自律神経免疫療法と精神療法と思われる。

間違っているだろうか?

 

今現在も彼女は再発した乳がんは消滅したまま、生活している。彼女の口癖はこうである。

「皆さんが毎日すばらしい一日を遅れることを祈っています」