コーヒーの摂取と前立腺がんリスクとの関連  

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今月のがん研究の専門ジャーナル(電子版)に、コーヒーの摂取と前立腺がんリスクとの関連を調べた疫学研究が報告されていました。(Cancer Causes Control. 2013 May 24.)

これまでの疫学研究によって、コーヒーの摂取による生活習慣病リスクの低下が知られています。
例えば、コーヒーの摂取による2型糖尿病リスク低下、脳卒中リスク低下、うつ病リスク低下、肝がんリスク低下、認知機能の低下抑制などがあります。

最近の米国での研究では、コーヒーの摂取と、致死的前立腺がんや進行がんリスク低下との有意な相関が示されています。そこで、今回の研究では、スウェーデンにおける症例対照研究として、コーヒーの摂取と前立腺がんリスクとの関連が検証されました。

具体的には、前立腺がん症例の1,499名と、対照群1,112名が比較されています。
解析の結果、前立腺がん症例群も対照群も、1日あたりのコーヒーの平均摂取量は3.1カップでした。
まず、コーヒーの摂取と、前立腺がん全般との間に有意な相関は見出されていません。

次に、致死的な前立腺がんは、コーヒーの摂取と負の相関の傾向が認められています。
(一日あたり5杯以上の摂取群では、1杯未満の摂取群に比べて、36%のリスク低下傾向:
ただし、有意差なし。95 % CI 0.34-1.19, p value for linear trend = 0.81)

また、進行がんについても同様に、コーヒーの摂取とリスク低下傾向が見出されました。
(27%リスク低下傾向。95 % CI 0.41-1.30, p trend = 0.98)

さらに、悪性度の高いがんでも、コーヒーの摂取とリスク低下傾向が示されました。
(Gleason 8-10; OR = 0.50, 95 % CI 0.26-0.98, p trend = 0.13)

以上のデータから、コーヒーの摂取と、前立腺がん(致死的ながん、悪性度の高いがん、進行がん)のリスク低下との相関が示唆されます。

コーヒーにはファイトケミカルの1種であるクロロゲン酸が含まれており、抗酸化作用を介した生活習慣病予防効果が示唆されています。
(カフェイン以外のコーヒーの主要な成分として、フェルラ酸(ferulic acid)、カフェ酸(caffeic acid,)、クロロゲン酸( chlorogenic acid)が知られており、いずれも抗酸化作用を示します。これらの中ではクロロゲン酸が比較的多く存在します。)