EPA/DHA(オメガ3系脂肪酸)値が高いと死亡率が低い

死亡リスクが約20%も低下するEPA,DHAは摂取することでメリットの大きいサプリメントと言えるだろう。

ほかにも炎症がヘルなど様々な効果がある。 

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今月の内科学の専門ジャーナルに、オメガ3系脂肪酸の血中濃度と、死亡率との関連を調べた疫学研究が報告されていました。(Ann Intern Med. 2 April 2013;158(7):515-525)

オメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用や動脈硬化抑制作用を介して、心臓病のリスクを抑え、死亡率を低下させると考えられています。
今回の研究では、EPA(エイコサペンタエン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)のオメガ3系脂肪酸の摂取と、死亡率との関係が調べられました。

具体的には米国の4地域における前向きコホート研究として、試験開始時に基礎疾患(冠状動脈疾患や脳卒中、心不全など)を有していない74歳(±5歳)の成人2692名を対象に、1992年の時点で、血中脂質と心血管リスクファクターが調べられ、2008年までの心臓病や脳卒中が追跡されています。

30,829患者年の追跡期間中、

1625 例の死亡(含570例の心血管死)、
359 例の致死的・371例の非致死的心臓病、
130例の致死的・276例の非致死的脳卒中
が認められました。

交絡因子で補正後、5分位において、オメガ3系脂肪酸値が高いほど、これらの疾患リスクが低いという相関が見出されています。
EPAでは17%のリスク低下、
DPAでは23%のリスク低下、
DHAでは20%のリスク低下、
総オメガ3系脂肪酸値では27%のリスク低下が示されました。

これらのリスク低下は、特に心血管疾患の死亡抑制による寄与が大きかったということです。
オメガ3系脂肪酸値が5分位で最高群は、最低群に比べて、

65歳以上の年代で、平均余命が2.22歳延長していました。
以上のデータから、

オメガ3系脂肪酸の摂取が多いと、心血管リスクの低下などにより死亡率の低下が示唆されます。
EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。

EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。

現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2~3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。