いろんなハーブの中でもノコギリヤシは安全性の高いハーブに分類されるようである。

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http://www.dhcblog.com/kamohara/archive/1196

医薬品学の専門ジャーナルに,ハーブサプリメントと医薬品の相互作用に関する最新のシステマティックレビューが,英国のErnstとイタリアのIzzoのグループから発表されていました。(Drugs. 2009;69(13):1777-98)

ハーブ/生薬の成分を含むサプリメントが広く利用されるようになってから,医薬品との併用による相互作用が問題になることがあります。
たとえば,相互作用による有害事象として,ハーブと併用した結果,医薬品の主作用が減弱する,あるいは逆に増強する,といったケースが想定されます。

そこで,ハーブサプリメントの適正使用では,医薬品との相互作用についての情報が大切になります。
さて,今回のレビューでは,最も広く利用されているハーブ(イチョウ葉,セントジョーンズワート,高麗人参,ニンニク,エキナセア,ノコギリヤシ,カバ)について,西洋薬との相互作用の可能性が検討されました。

具体的には,MEDLINE, Cochrane Library, EMBASEの各データベースを用いて,128報のケースレポート/症例シリーズ,80報の臨床試験が検出されています。
解析の結果,まず,SJWについては肝薬剤代謝酵素チトクロームP450やP糖タンパク質の活性への亢進/阻害を介した相互作用が見いだされました。

(該当する薬剤は非常に多数です。ただし,日本では医薬品の添付文書に記載されていますし,セントジョーンズワート製品のパッケージにも注意書きがあります。)

次に,イチョウ葉については,omeprazole, ritonavir,tolbutamide値の低下,antiepileptics, aspirin (acetylsalicylic acid), diuretics, ibuprofen, risperidone, rofecoxib, trazodone,warfarinとの相互作用の報告が知られています。

その他,高麗人参(Panax ginseng)はphenelzine やwarfarinと,カバはchlorzoxazone,levodopa,paroxetineと,ニンニク(Allium sativum)はchlorpropamide, fluindione, ritonavir,warfarin,chlorzoxazoneとの相互作用に注意が必要です。

エキナセアは,caffeineやmidazolamのクリアランスに影響を与える可能性が示唆されています。

一方,ノコギリヤシについては,医薬品との相互作用の報告は見出されておらず,高い安全性が示唆されます。

以上のデータから,ハーブサプリメントの一部には医薬品との相互作用に中が必要な成分があると考えられます。
なお,相互作用というとネガティブな印象ですが,医薬品とハーブサプリメントを併用することが推奨される場合もあります。

たとえば,脂質異常症治療薬のスタチン剤投与中には内在性コエンザイムQ10値が低下するので,コエンザイムQ10をサプリメントで補います。
また,アセトアミノフェンのような肝毒性を有する医薬品の摂取時には,マリアアザミのような肝保護作用をもつハーブの併用が可能です。

その他,化学療法による副作用の軽減に,メシマコブやマイタケ,アガリクスといったβグルカンを含むキノコ系サプリメントの併用も行われます