新型コロナ、専門医が語る“本当の怖さ” 「数時間で一気に」急速な重症化

2020.3.27 20:00

 

コロナウイルス問題が佳境を迎えている。世界各国で猛威を振るっているこの問題だが、幸い日本では感染者数も現在3/31発表で1953名、死者56名だ。

数字的には大した数ではない。私も当初、この数字を見て年間12万人が亡くなる肺炎に比べたら到底比較にもならない軽い問題だと軽視していた。

しかし、このウイルスについて実情がわかるにつれて心配しすぎても悪いことはないことがわかってきた。

それは感染力の強さと、重症度である。

  • 感染力
    インフルエンザの感染力が1.3としてコロナウイルスは23(まだ正確なデータはない)つまり、感染防御の手を打たなければ年間で2000~3000万人が罹患する可能性があるという。我が国のインフルエンザ感染数は700万人から1000万人程度。
  • 重症度
    重症度はひどいものである。コロナウイルス感染症の重症度はインフルエンザの約20倍程度(これもまだ正確ではないが)下の記事にもあるが、感染者の80%は軽度症状もしくは無症状。20%が入院が必要なレベルであり、5%が人工心肺などの器具が必要なレベル。そして全体の3~4%が死亡する。

これらの情報を考え合わせると恐ろしい未来が見えてくる。この新たなウイルスは感染防御態勢をとっていても感染者数が増加しているように、インフルエンザよりも強力に感染するのだ。そして一度かかれば確実に多くの人が医療を必要としまた死亡する。

一番恐ろしいのは医療崩壊である。インフルエンザの3倍の患者がいたら、入院数も莫大になる。

試算してみる。コロナ感染の患者数が3000万人だったら、
20%が入院とすると600万人、

5%が人工心肺とすると150万人

3%が死亡すると90万人

となる。これでは通常医療でもキャパ一杯で維持されている医療は確実に崩壊する。

医療崩壊が起きれば癌患者さんや肺炎患者さんなども含めて相当の数の死者が出るし、医療者からも多くの死者が出るだろう。医師がいなくなり、看護師がいなくなり、日本中で医療が崩壊し、さらに死者が増えるだろう。通常の医療が行えない悲惨な状況になる。

 

だから、ロックダウンも辞さない考え方が必要なのである。日本医師会が緊急事態宣言を希望したのもうなづける。政府は英断をする時期に来ているかもしれない。

 

https://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/200327/lif20032720000032-n1.html?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link

 

東京都の小池百合子知事が25日夜に開いた緊急会見には、国立国際医療研究センター病院の大曲貴夫国際感染症センター長が同席し、「新型コロナウイルスの恐怖」について克明に語った。

大曲氏はまず、「(感染者のうち)8割の人は本当に軽いんです。歩けて、動けて、仕事にもおそらく行けてしまいます。残りの2割の方は確実に入院が必要で、全体の5%の方は集中治療室(ICU)に入らないと助けられない」と指摘した。

真の恐怖は“スピード”にあると大曲氏は続けた。

「(一部の感染者は)本当に1日以内で、数時間で、それまで話せていたのにどんどん酸素が足りなくなって、酸素をあげてもダメになって、人工呼吸器をつけないとこれは助けられないという状況に数時間でなる。それでも間に合わなくて、人工心肺もつけないといけない。ということが目の前で一気に起こるわけですよね。ものすごい怖いです」

新型コロナウイルスが注目され始めた当初、同じRNAウイルスのインフルエンザと同程度と考える向きもあったが、まったく別物のようだ。

大曲氏は急速な重症化について、「特に持病があったりする方の中では、そういうことは起こるんですよね」「(ウイルスには)やっぱりかかっちゃいけない。僕はすごく強く感じます」と強調した。

 

会見では、海外の感染者の一部で闘病の様子を“自撮り”して、ウイルスの実態を呼びかける動きもあると質問が飛んだ。

これに対し、大曲氏は「ものすごく尊敬してます。あれによって伝わるメッセージは非常に強い。コロナという病気がどういうものかを伝えるうえで非常に重要だと思います」とも語った。

長引くコロナ禍に「自粛疲れ」という言葉も飛び交うが、決して楽観視してはいけない。