膝前十字靭帯損傷

概要

膝の靭帯損傷はスポーツ活動で頻発する外傷であり、前十字靭帯損傷は発生頻度が高いです。前十字靭帯損傷によって引き起こされる膝の不安定性が、スポーツ活動を困難にするとともに、それを放置することにより半月板損傷や二次的変形性膝関節症を引き起こすことがあります。

症状

受傷後、激痛とともにブツッと断裂音を体感することが多く、数時間以内に関節が著しく腫れてきます。膝関節にかなりの不安定感・疼痛・可動制限が生じて、日常生活やスポーツ活動に支障をきたします。また膝の内側の靭帯損傷を合併し、前十字靭帯の場所以外にも痛みが生じる事があります。

原因

膝には4本の靭帯があり関節の動きをコントロールしています。それらが耐えられる以上の力が加わると靭帯が切れます。サッカーやラグビーなどの接触するスポーツで相手選手にタックルをされて膝を捻ったり、バレーボールやバスケットボールでのジャンプの着地や急な方向転換などで膝に過度の負担がかかった時に生じます。スキーなどでも多いです。

検査

診断には徒手的診療が重要です。補助的診断法としてMRIが役立つことが多いです。

治療

損傷した前十字靭帯はギプス固定などでは治りません。損傷後1か月ほどで痛みはとれ、日常生活には支障がなくなることがほとんどですが、それは損傷に伴う炎症が落ち着いたからであり、靭帯は切れたままです。スポーツを行わない人ではそのままの状態でも支障がない場合もありますが、スポーツの続行を希望する人には手術を勧めます。手術後は関節や筋肉の運動などのリハビリが重要です。膝に過度の負担がかからないように注意しながら、可動域運動、筋力運動、物理療法を行います。スポーツ復帰までには通常6か月以上かかり、長い治療期間が必要となります。