ED薬の偽造品ついて

偽造ED治療薬四社合同調査の結果

国内でED治療薬を製造・販売している4社(ファイザー株式会社:バイアグラ、バイエル薬品株式会社:レビトラ、日本イーライリリー株式会社・日本新薬株式会社:シアリス)は、合同でインターネットにより入手したED治療薬の鑑定調査を実施し、その結果を公表しました。

ネットでED治療薬を購入した人のアンケート結果

  • ED治療薬の偽造品がネット上に出回っていることを使用者全体の9割以上が認識
  • ネット購入者の75%が偽造品と本物を自分では区別できないと思うと回答
  • 自分がネットから購入したED治療薬は本物だと思うと約9割が判断

インターネットサイト上では偽造品であっても、本物である、または海外で製造されたジェネリック医薬品であると欺いて販売されています。真正品と偽造品は、一見しただけでは真偽判定が難しいのが実情です。

インターネットサイトからED治療薬を購入、真偽を鑑定し含有成分について化学分析を行った結果、55.4%が偽造品でした。

ED薬の偽造品の割合

偽造ED治療薬による被害

偽造品には、有効成分を全く含まない物、全く違った成分が含まれている物、不純物を含む物などがあります。海外の調査では覚せい剤が含まれていたこともあり、効果が得られないだけでなく、不純物混入による健康被害を及ぼすことが報告されています。

(シンガポール/2008年2~5月)
偽造ED治療薬やその他の漢方薬(いわゆる精力剤)3種を服用した患者で、低血糖による昏睡などの重篤な有害事象が発生しました。 2008年5月現在、確認患者数40人、疑いのある患者87人。うち4人死亡(そのうち2人が偽造ED治療薬による死亡)。

(日本国内)
2011年1月、国内医療機関の救急外来において、冷や汗やふらつきを主訴に受診した患者さんが、その後、意識レベルの低下などの重篤な低血糖症を発症しましたが、来院前夜、タイ人の友人からもらった『Cialis 50』と書かれた偽造シアリスを服用していたことが判明しました。患者さんの血液を分析したところ、血液中から高濃度の血糖降下薬、グリベンクラミドが検出され、正規品には含まれていない血糖降下薬が偽造品中に大量に含まれていたために、重篤な低血糖症を発症したものと考えられます。

2011年4月に、奈良県薬務課から、ED治療薬の偽造品を服用した男性が意識障害を起こし、病院に搬送されるという事例や、偽造ED治療薬服用との因果関係は明らかではないものの、呼吸困難等で病院に搬送され死亡に至った男性の衣服から偽造ED治療薬が見つかる事例が報告されました。

偽造ED治療薬の製造現場

偽造バイアグラ製造現場の一例(中国)

偽造バイアグラ製造現場の一例(中国)

偽造バイアグラの製造現場は、この事例のように不衛生であり、プリンターインクを混ぜて正規品に似せていることもあります。流通経路での品質管理にも、適当なポリ袋などにバラで入って送られてくるなどの問題があります。

偽造バイアグラは、米国経由で日本に輸入される事例も確認されており、米国の住所から送られてくるバイアグラが本物だとは言い切れません。

ED治療薬は医師の処方が必要な医薬品です。海外から持ち込まれる偽造ED治療薬は、知的財産権を侵害するものです。偽造品の国内への持ち込みは禁止されています。不正規ルート(医療機関以外)で入手したED治療薬は偽造品の可能性が高く、思わぬ健康被害も予想されます。EDに関する相談、治療は、医療機関を受診して下さい。