循環がん細胞検査

循環がん細胞とは

がん細胞(悪性腫瘍、cancer cell)が増殖してガンの塊(腫瘤)が1.5mm程度になると、血液中にがん細胞から多くの細胞が輩出されます。この中に「循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)」が含まれます。やがてこのCTC細胞が他の臓器へ定着して増殖を始めると「転移」が起こったといわれる状態になります。

循環がん細胞検査により、がんの早期発見、再発の早期発見、転移、治療の効果判定、現状に即した有効な抗がん剤や天然成分の判明など、様々な事ががんの遺伝子レベルで分かります。

検査には採血が必要ですが、採取する血液量はたったの20mlです。一般的な献血での採血は約400ml、ヤクルトの容器が約60mlですから、20mlがいかに少ないかはご想像頂けると思います。血液はギリシャにて検査され、約三週間後に結果が分かります。

循環がん細胞検査の特徴

超早期のがんを見つけることが出来る

ガンがCTやMRIなどの画像診断で発見されるためには、最低でも5mm~1cm以上の大きさが必要だと言われています。しかし、これも最新式の高価なCTスキャンやMRI機器を使い、放射線科の専門の医師が詳細に観察して初めて診断となります。

それゆえに、腫瘍マーカー(がんの成長と共に血液中に放出されるたんぱく)が上昇しているのにガンが見つからないという場合があります。単に画像診断されていないというだけで、実際には5mm以下の大きさのガンが存在している可能性が高いのです。

循環がん細胞は、1.5mm程度の段階で検出できるため、早期発見できるメリットがあります。

1cmのガンの塊には約10億個のがん細胞があり、1個のがん細胞が約30回細胞分裂することでこの大きさになります。一方、1.5mmのガンの塊には約100万個のがん細胞があり、1個のがん細胞が20回分裂するとこの大きさになります。

つまり、細胞分裂にして約10回分早く見つけることが出来る計算になります。1ヶ月に1回の細胞分裂と仮定すると、約10ヶ月早くガンを見つけることが出来る計算になります。これは大きな差です。そのためこの検査が重要視され、研究されてさまざまなことが分かるようになりました。

この循環がん細胞を利用して、現在のガンの状態、性質を知り一人ひとりのガン細胞に適切な治療方針を立てていくことが可能です。

悪性度が分かる

血液中の循環がん細胞の数が1mlあたり何個あるかが分かります。この数値を元に、これまでの統計から悪性度を推定できます。

たとえば乳がんで言えば、血液7.5mlあたり5個未満であれば無増悪生存期間(治療を開始してからガンが進行せずに安定している期間)は7ヶ月なのに対して、5個以上であれば2.7ヶ月で数値が高いほど悪性度が高いことがわかります。

悪性度が高ければ腫瘍の発育スピードが速く、転移する可能性が高くなります。悪性度が高い場合には積極的な治療を検討するという判断材料になります。

<検査結果例>
血液中の循環がん細胞の数

リアルタイムのがん検査

これまで、抗がん剤の感受性検査や、がん細胞の遺伝子検査をする場合は、手術で切り取ったガン細胞を使って行われてきました。

がん細胞は抗がん剤に対する抵抗性を持ったり、がん抑制遺伝子が発現したり、逆にがん促進遺伝子が発現したりします。がん細胞の性質は、時の経過や治療と共に変化していきます。

循環がん細胞は今現在血液中に流れているガン細胞ですから、その検査したときのリアルタイムのがん細胞の特徴を知ることが出来ます。

手術後の目に見えないガン細胞があるかどうかが分かる

「手術を受けました。無事に終わりましたが、目に見えないガンがあるかもしれないので、再発予防のために抗がん剤治療(化学療法、chemotherapy)を勧められました。抗がん剤治療をするかどうか迷っています。」

このような質問が多々あります。一般的には手術後のPET検査やCT、MRIなどの画像検査ではがん細胞が見えないので、迷う患者さんは多いと思います。再発の可能性が高い場合には化学療法(抗がん剤治療)を勧められます。

このような場合に、循環がん細胞検査を行うことが出来ます。検査の結果、循環している血液中にがん細胞が見つかればガンの腫瘤が1.5mm以上になっている可能性が高く、かつ悪性度が高ければ積極的に先を制して治療を始めることが出来ます。(手術でのガンの取り残しが分かる検査ではありません)

治療効果の判定ができる

上記のように、手術後の再発予防のために化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法を受けた場合には、CTやPETなどの検査では効果判定が出来ません。

しかしこの循環がん細胞検査では細胞数の減少、増加で治療の効果判定が可能となります。つまり、治療前よりも循環がん細胞が減っていれば効果あり、増えていれば効果なしです。同じ治療を続けていくか、違う治療を検討するかの判断材料になります。

循環がん細胞検査内容

抗がん剤の感受性検査

血液から取り出した循環がん細胞に各種抗がん剤を作用させることにより、抗がん剤の感受性を調べることが出来ます。これは、どの抗がん剤が自分のがん細胞に良く効くかを調べる検査です。

標準治療(大学病院やがんセンター、一般的ながん治療の専門病院での治療)では、がんの種類によって使う抗がん剤が決まっています。たとえば、胃がんならこの抗がん剤、乳がんならこの抗がん剤、といった具合です。

一方で、循環がん細胞を用いた抗がん剤の感受性検査では、今現在患者さんの血液中に循環しているがん細胞に対して、効果の高い順に抗がん剤の種類がわかります。現在使っている抗がん剤がまだ効果が期待できるのか、耐性が出来て効かなくなっているのかが分かります。

標準治療で、「もうあなたに効く抗がん剤はありません」と言われた時でも、この検査で効果的な抗がん剤を保険適応に関係なく選び、治療することが出来ます。

当クリニックでは少量の抗がん剤で従来の治療と同様の効果を出す、副作用の少ないIPT療法(インスリン強化療法)を行うことが出来ます。この検査を受けて行えばより効果的な薬剤を使い治療することが出来ます。

抗がん剤の感受性検査

抗がん剤は続けて使用していると、必ず効かなくなって来ます。これを薬剤耐性といいます。MDR1(多剤耐性タンパク1)を調べ、過剰に見られれば抗がん剤が効きにくくなっていることがわかります。このような場合は、他の有効な成分を提案していきます。

薬品への抵抗性

MDR1の発現が45%というのは、結構高い数値で薬剤耐性が出来ている事が判断できます。

がん細胞の遺伝子解析

循環がん細胞の遺伝子検査により、成長因子による増殖状況、血管新生促進能の状況、がんの抗がん剤の代謝毒能と分子標的薬のターゲットなどを知ることが出来ます。これらの特徴を知り、治療計画に生かすことができます。

がん細胞の遺伝子解析

<例>

C-erb-B1
上皮増殖因子受容体(EGFR)
C-erb-B1はがん細胞の増殖を刺激する因子と反応します。C-erb-B1が過剰に発現していれば、イレッサやタルセバという分子標的薬(がん細胞の分子レベルの特徴的な構造を標的とした薬)の効果が期待できます。
EGF
上皮増殖因子
EGFはがん細胞の増殖を刺激する因子でこれががん細胞に結合することで増殖が促進されます。遺伝子検査で過剰に発現していれば、がん細胞の増殖能力が強いと考えられます。このような場合にはこれを阻害する薬剤や天然成分の使用をお勧めします。
VEGF
血管内皮細胞増殖因子
腫瘍がある程度大きくなると早い段階から腫瘍の周りに新しい血管を作り始めます。腫瘍の発達のために栄養を補給する血管が必要だからです。VEGFが過剰に見られる場合には、血管新生を強く起こす特徴を持っていることがわかります。アバスチンという分子標的薬の効果が期待できます。また、アルテミシアという漢方薬の成分も効果があり得ます。
HSP90・HSP72・HSP27
ヒートショックプロテイン
がん細胞は熱を加えられると、正常細胞のように血管を拡張して細胞の温度を下げることが出来にくく、簡単に細胞の温度が上がってきます。体表のがんであれば温度が42度以上になるとがん細胞が死滅することが分かっています。HSPの数値がマイナスであれば、温熱療法の効果が期待できます。

天然成分の感受性検査

抗がん剤と同様に、がんに効果が期待できる天然成分約50種類の感受性を調べることが出来ます。この検査では、がん細胞のアポトーシス(自然死)を起こさせる成分、免疫機能を調節する成分、がんの増殖因子を阻害する成分など、がんに対抗するそれぞれの項目の中で、効果的な天然成分がわかります。

患者さんからすれば、人から勧められる物や、テレビや雑誌で効くと言われている物なら何でも試したいと思われるかもしれません。しかし、実際は患者さんそれぞれのガンの特徴を知り、それに合ったものを摂取する方が、科学的に、無駄なく効果的な治療をする事ができます。

天然成分の感受性検査

<例>

アポトーシスを
起こさせる成分
リコペン、アスコルビン酸(ビタミンC)、アミグダリン(ビタミンB17)など
免疫機能を
調節する成分
AHCC(キノコ類の抽出物)、ミッスルトー(ヤドリギの抽出物)、キャッツクロー(ハーブ)など
増殖因子を
阻害する成分
インドール3カルビノール(ブロッコリーの抽出物)、ケルセチン(イタドリの抽出物)、ウコンなど

サリドマイドの感受性検査

サリドマイドは、妊婦が飲用すると生まれてくる子供に奇形を引き起こす薬として知られています。

しかし、サリドマイドには炎症やがんに伴って起こる血管新生の阻害作用や、がん性悪液質を引き起こす腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)の産生を抑える作用が発見されました。

これらの薬理作用がサリドマイドの催奇形性と関連しているのですが、炎症性疾患やがんの治療における有効性が指摘されています。

サリドマイドの感受性検査

循環がん細胞検査種類

再発早期発見検査
Oncocount R.G.C.C.
循環がん細胞の存在の有無と、その濃度の情報です。再発を早期に検出する為と、フォローアップの為に用います。
原発巣推定の遺伝子検査
Oncotrace R.G.C.C.
循環がん細胞の存在の有無と、その濃度と、免疫フェノタイピングについての情報です。予後の指導のためと、原発巣が不明の場合に、原発巣の特定を行うための予測手段として用います。
抗がん剤の感受性検査
Onconomics
患者様のがん細胞に対する、抗がん剤の有効性に関する情報です。
天然成分の感受性検査
Onconomics Exrtacts
患者様のがん細胞に対する、天然成分や抽出物の有効性に関する情報です。がん細胞に対する直接の細胞殺傷効果の有無・免疫系の刺激能・増殖シグナルの抑制能の作用機序に対して評価が為されます。
遺伝子検査・総合感受性検査
Onconomics Plus
循環がん細胞の分離と同定、遺伝子の発現の検査、抗がん剤、ホルモン療法、モノクローン抗体、天然栄養成分の感受性検査です。
転移予測検査
Metastat
循環がん細胞のマーカーに基づいて、腫瘍が転移を起こすかどうか、起こすとしたらどこへ転移するのか(肺、脳、肝臓、骨など)についての情報です。

循環がん細胞検査