IPT強化療法

IPT強化療法(インスリン強化療法)とは

IPT療法とはInsulin potentiating therapyの略です。日本語ではインスリン強化療法と言います。インスリンとは膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きがあります。血糖値を下げることで癌細胞がエネルギー不足になり、細胞膜の透過性が高まります。また、癌細胞の細胞周期が成長期に変化し、より抗がん剤を取り込みやすい細胞の状態となります。インスリンを使用して抗がん剤やビタミンCなどの点滴をする事で、より効果的に癌細胞に薬を投与することになるのです。

抗がん剤の選択についてはCTC検査を行う事をお勧めします。CTC検査は循環がん細胞検査といい、血液中の癌細胞を同定し、そのがん細胞に対する抗がん剤の感受性を検査します。

感受性検査の結果、数十種類の抗がん剤の中で自分の癌細胞に対して何がどれほど効果があるのかがグラフで表示されて数値的に理解できます。この検査によって無駄な抗がん剤の投与が減り、より効果的な抗がん剤の選択ができます。

本来ならすべての抗がん剤治療に先立ってこのような感受性検査が用いられるべきですが、残念ながら日本では公的保険で行われる抗がん剤治療にはこの検査は行われていません。

CTC検査の結果感受性が合致する抗がん剤をインスリンを使用した後に投与しますが、投与量は標準治療の半分以下になります。先ほど述べたようにインスリンの働きで癌細胞に対して細胞膜の透過性が高まり、細胞周期が増殖期となるために抗がん剤の効果が数倍も上がるからです。

つまり、IPT治療を行う事によってより少ない量の抗がん剤でより癌細胞に対して効果的な投与ができることになります。現在様々ながん治療がありますが、抗がん剤治療を安全にそして最も効果的に行える治療はIPT療法だと言えます。

私が参加しているIPTのアメリカの学会では非常に成績がよく、750人のがん患者さん、それもステージ4(進行がんで他臓器に転移がある状態、日本では緩和ケアの対象)の方に対してIPT療法を行ったところ、4年後の生存率が64%であったと言う発表がありました。勿論、IPT療法で抗がん剤を投与するだけではなく、食事療法やストレス緩和などの統合医療的なアプローチも含めて治療した結果です。

4年後の生存率