線維筋痛症

線維筋痛症とは

線維筋痛症とは肉体の疾患ではなく、脳と心の不調による全身的慢性疼痛疾患であり、全身の筋肉に激しい痛みが起こる病気です。

通常療法と代替療法でどちらが効果的なのか?

患者さんの精神状態や肉体の状態によって治療法は違ってきます。

通常療法の痛み止め、抗うつ剤で改善しない方がよく来院されます。多くはさんざん検査され、様々な薬を投与されて、それでも結果的には何ら改善していない方々です。全身の筋肉痛がひどく、場合によっては効果がない薬を長期間内服したために胃潰瘍などの腹部障害を起こしている事もあります。抗うつ剤を飲んでろれつが回らなくなったり、体のだるさを訴える人もいます。もともと鬱的な気質を持っていない人の場合は、全く効果もなくただ副作用が出るので要注意です。

では統合医療的な治療で効果があるのでしょうか?ビタミンB・Cの点滴であるマイヤーズカクテルという点滴でも、ある程度は治療効果がありました。点滴だけでは効果がない方にもコエンザイムQ10やαリポ酸の点滴やサプリメントを使ってきました。これだけで当院では60%の方は改善しました。

しかし、それでも改善しない方もいるのが事実です。今新しく行っているのが気功と瞑想です。脳の中での伝達物質の異常が要因だと考えているからです。上記のビタミン剤などは脳ではなくて筋肉や神経の細胞レベルの治療です。しかし、脳内で痛みを強化するアドレナリンやノルアドレナリンなどのストレスホルモンが出すぎているとビタミン剤では治療できないのは自明です。

逆に脳内でセロトニンやオキシトシン、エンドルフィンなどの幸せホルモンが分泌されればどうなるのか?痛みは楽になる可能性があります。

実際の治療では瞑想もなかなか効果が出ません。瞑想で脳内ホルモンを安楽に保つことは修行を積んだ僧にしかできないのかもしれません。

しかし、面白いことを発見しました。

頭皮鍼という治療があります。この鍼治療は頭の皮膚の下に鍼を滑り込ませるように打ちます。頭は脳に近いわけで、脳神経を刺激して血流を改善し、その結果脳が痛みを感じない様になる治療です。元々中国で始まった鍼治療ですが、鍼治療には2種類あって、直接痛みがある部位に鍼を打ち痛みを取る鍼と、痛みとは違う場所に鍼を打つことによって痛みの部位やその部位を支配する脳の血流を変える鍼があります。この頭皮鍼を発展完成したのは日本人医師です。

頭皮鍼を患者さんに打ったところ非常に効果がありました。と言っても簡単に完治はしません。VAS(痛みの評価方法。痛みなしを0、最高の痛みを10として表現する)で8の痛みが4に減る程度です。10が耐えきれない極限の痛さですから8も相当痛く、患者さんは車いすで痛みに耐えながら顔をしかめて来院していました。しかし鍼をした後は自分で歩けて少し笑顔が出る程度にはなるのです。そこで考えました。もしこの効果が本当に脳の血流、ストレスホルモンの低下や幸せホルモンの分泌などの刺激によるものだったら、鍼をしてもストレスホルモンが出ていればその効果は出ないだろうと考えたのです。

2回目の治療の時、図らずもその状況ができてしまいました。鍼がうまく当たらずに額の一部分で嫌な痛みを出していたそうなのです。患者さんはそれを言い出せずにいました。治療後痛みの診断をしましたが、少しも改善していません。おかしいなと思っていたら実は鍼が頭皮に刺さっている間、その場所の痛みを我慢していたのです。結局全く効果がありませんでした。

つまり、本来は頭皮に打った鍼が痛みを抑えるべく、脳内の血流を改善し脳内で幸せホルモンを分泌していれば治療効果もあったのに、頭皮の痛みが出たために脳からはストレスホルモンしか出なかったのではないかと考えられます。

その次の治療の時にはその点を注意しました。すると頭皮鍼のあとまた劇的に痛みが治まっていたのです。私は確信しました。痛みが出ない鍼を打てば幸せホルモンが出るはずだ。痛みが出るときにはストレスホルモンが出ているのだ。そのせいで痛みが変わる。脳が受け取る信号で痛みが変わっているのだと。

そうするとこの患者さんには鍼はもちろん即効性があるので行うのですが、むしろ根本的には脳内幸せホルモンを出すような訓練をさせるほうが良いと言う事になるのです。ですので現在は自律訓練法とEMDR,そして瞑想を徹底して指導しています。経過は順調です。

今まで痛みのために車いす生活を強いられ、大学病院でありとあらゆる神経疾患、脳疾患を疑われてきましたが、異常は見つかりませんでした。そして様々な薬の副作用に耐えて内服もしてきましたが結局現代医学では改善すらしませんでした。
痛みは徐々に悪化し仕事も辞職せざるを得ず、家で寝たきりの生活だったのです。このままでは将来が不安でたまらなかったと言います。それが自分の足で歩けるようになり、できなかった近所の散歩もできています。このまま徐々に治ってゆくには自分の脳内で幸せホルモンが分泌されねばなりません。それは訓練によって可能だろうと思っています。

病気には肉体の病気と、心の影響で病気になることがあります。さらには人間の意志や心では解決しない脳や魂レベルの影響を受ける疾患、状況があります。これを見極めることが難しいなと感じています。

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[線維筋痛症]
線維筋痛症(せんいきんつうしょう、英: Fibromyalgia:略FM)は、全身に激しい痛みが生じる病気である。英語では、症候群であることを表現して、Fibromyalgia Syndrome:略FMSとも記される。

原因不明の全身の疼痛を主症状とする。不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動性膀胱などの自律神経系の症状を随伴することがある。ドライアイ・ドライマウス、逆流性食道炎などの粘膜系の障害を合併しやすい。疼痛は腱付着部炎や筋肉、関節などにおよび、体幹や四肢から身体全体に激しい疼痛が広がる。

原因は不明であり、通常の医師が行なう血液検査では異常が現れない。CTスキャン、MRIを検査しても異常を発見できない。また、この病気が診断できる特別な検査は2015年時点で存在しない。診断が非常に困難な症例が多いが、圧痛点による簡易的な見分け方が知られる。

患者は、男性より女性の方が非常に多く、働き盛りの中高年に発生率が高い。米国での有病率は20歳以上成人のおよそ2%ほど。軽症例も合わせれば推定200万人と言われる、比較的患者人口の大きなリウマチ性疾患であるにもかかわらず、日本の医療機関での認識が遅れている。その結果適正に医療を受けられている患者が極めて少なく、多くの患者は未診断、または、誤診を引き起こしてドクターショッピングを繰り返し、結果的に長く病む状況となってしまっている。医療に失望して民間療法などに流れている場合もある。このように日本の線維筋痛症の医療環境は問題がある。

そんな中でも血液による診断法の確立へと、日本の研究者の成果もあって前進している。

[症状]

激しい痛みが、線維筋痛症の主な症状であるが、その激しさを表現するのに、「体の中で火薬が爆発するような痛み」「万力で締め付けられるような痛み」「キリで刺されたような痛み」「ガラスの破片が(体の中を)流れるような痛み」などと形容される。

また疼痛症状以外に、様々な身体性の症状を伴う。これらの症状としては、過敏性腸症候群、口内炎、胃腸症、膀胱炎、シェーグレン症候群に似たドライアイ、ドライマウス、末梢神経炎と思わせる手足のしびれなどが挙げられるが、特に共通の症状として睡眠障害が挙げられている。9割の患者で睡眠障害がみられると言われる。疼痛による睡眠障害の起こり方としては、同じ体位で寝ていると自分の体重で疼痛が生じ、中途覚醒するという特徴的なパターンがある。睡眠障害と疼痛は密接に関連していると言われ、睡眠障害がストレスとなり、次に痛みを引き起こし、更に睡眠障害を引き起こすという悪循環がみられる。そのため、メンタルケアが重要とされる。

この病が直接の原因となり死に至ることは無いと言われているが、その全身の痛みは凄まじいもので、痛みの苦痛等が間接的に患者を死に追いやることはありえる。2007年2月2日に43歳で亡くなった日本テレビの元アナウンサー:大杉君枝はこの病を苦に自殺したと報道されている。(ただし、飛び降りと線維筋痛症の間の因果関係を疑問視する意見もある。) 後述のとおり、この病は患者のストレスや精神状態が症状に与える影響が大きく、神経や精神状態の改善が症状を改善させるという臨床例が多く認められている。この病は原因が不明で、患者の痛みの理由が周囲にわかりにくいことから、しばしば怠け病や詐病と周囲に誤解されやすいところが、患者のストレスを更に増加させるものと考えられる。うつ病に対する場合と同様、周囲のこの病に対する理解が必要である。線維筋痛症患者における自殺念慮の有病率は32.5%と報告された。

[疼痛]

疼痛レベルや痛みの種類は天候や気温に湿度、環境、五感による刺激、肉体的精神的ストレスで変化する。しばしば疼痛箇所は移動するが、痛みが途切れる事は無い。
症状には個人差が大きく、軽度なら仕事を続けられる場合もあるが、重度の場合はガンの末期患者と同レベルの疼痛といわれ、日常生活に支障をきたし、自力での生活はほぼ困難である。症状が重くなると髪やつめに触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり寝たきりになる。通常の日常生活(食事・買い物・入浴・着替え・歩行・寝返り等)、呼吸や嚥下すら困難になる。
視覚、聴覚(聴覚過敏)、触覚、味覚、嗅覚の五感が著しく過敏になる。そのため僅かな音や光、軽い接触にも痛みを感じるようになる。化学物質やアルコール不耐性になり、アレルギー症状は悪化する。
灼熱感や冷感、悪寒、穿痛感(刺されるようなチクチクする痛み)、乱切痛、アロディニアなどの知覚異常が見られる。
多くの患者に筋力と運動能力の著しい低下、筋肉の激しい疲労、筋肉の痙攣、行動力の低下、関節の痛みと腫れ、重度では自力で補助なしには立ち上がれないし起き上がれない、以前歩けた距離が歩けなくなるなどの症状が見られる。
特に強直性脊椎炎や血清反応陰性脊椎関節炎の患者が合併症として線維筋痛症を罹患している頻度が高いことが知られ始めており、脊椎関節炎における多発性付着部炎の箇所と線維筋痛症の圧痛点の多くが一致するとも言われている。

[痛み以外の身体症状]

FMS患者の90%以上が疲労感を感じている。同様の病に慢性疲労症候群(CFS, 但しCFSは痛みではなく疲労を伴う病である)や、Systemic exertion intolerance disease (SEID)がある。FMSの発症前後に合併する例も多い。症状に共通する部分があるため線維筋痛症と同じ病気とみなす医師もいる。CFSの主な症状は身体的・精神的両方における激しい疲労である。運動・精神活動後によって疲労は強くなり、休息や睡眠によってなかなか回復しない。不眠・過眠・はっきりした夢を見やすい。疲労の程度は、何とか働ける程度から、寝返りもうてないほど重症の患者もいる。

ほか、こわばりやうずき、痺れ、振戦と震え、全身倦怠感と疲労感、耳鳴り、視力の変化、頭痛、微熱、体温調節の失調、睡眠障害、不眠と過眠、歯や歯茎、顎の痛み、口内炎、顎関節症候群、眼の奥の痛み、頻尿、寝汗、動悸息切れ、発疹、血糖値の調整異常、血圧の調整異常、月経前症候群、過敏性腸症候群、三叉神経痛などがある。

ドライアイ、ドライマウスを高頻度に併発する。しばしばシェーグレン症候群、膠原病(リウマチ・エリテマトーデス・MCTDなど)、甲状腺機能低下症(橋本病)、潰瘍性大腸炎、血清反応陰性脊椎関節炎、等の免疫疾患を併発する。特徴として朝と夕方の疲労とこわばりやリンパ節の痛みが見られる。

慢性痛によっていくつかの感染症(たとえばライム病)の発症要因となり得る。

[精神神経症状]

睡眠障害と並んでうつ状態の症例が多い。FMS患者のおおよそ30%が大うつ病とも診断される。人間関係のストレスの集積、離婚や近親者との死別などが、疼痛発症のトリガーである場合は尚更である。精神科領域で、原因不明の慢性疼痛を身体表現性障害の範疇に含んで診断することも不利にはたらき、誤診や未診断の原因となっている。
むずむず脚症候群を、70.7%の患者で併発し、そのうち約20%が重症であった。
多くの場合は精神症状は疼痛の緩和とともに改善される。これは痛みが線維筋痛症の主因であり、精神症状が主因ではないことを意味する。