ビフィズス菌は肥満での脂質代謝改善に有用;基礎研究

 

腸内菌がダイエットにも影響するという話である。腸内菌の働きでアレルギーや免疫反応に変化が出ることはわかっているが、ダイエットにも効果がありそうだとわかってきた。そもそものことを言えば、善玉菌が増える食生活をしていればそれだけで太らないのである。

炭水化物が多い食生活や脂肪が多い食生活では善玉菌は増えない。

アルコールやら添加物のようなものを食べていては善玉菌は増えないのだ。だから、この実験のように普段から油物や炭水化物が多いものを食べている人はサプリメントを利用しましょうと言う事になる。

ダイエット外来をしているものからすれば、善玉菌は食事の結果なんだけどなと思うところである。

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栄養代謝研究の専門ジャーナル(電子版)に、肥満モデル動物において、ビフィズス菌による脂質代謝改善作用を示した基礎研究が、マレーシアのグループ(University of Malaya)から報告されていました。 (Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2017 Jul 8.

 

先行研究では、肥満と腸内細菌叢との関連が知られています。

いわゆるデブ菌、痩せ菌と呼ばれるような腸内細菌の菌種と、BMIとの相関が話題になりました。 (肥満ではファーミキューテス菌が多く、痩せではバクテロイデス菌が多い、とされています。)

 

そこで、菌活ダイエットなどの考えが出てきています。

しかし、肥満及び肥満に関連する病態において、特定の単一の菌種あるいは組み合わせによる抗肥満作用に関しては、まだ明らかではありません。

 

今回の研究では、 高脂肪食負荷による肥満モデルラットを用いて、 乳酸菌、ビフィズス菌および複数の菌種の組み合わせによる肥満関連指標への働きが検証されました。

 

具体的には、 高脂肪食誘導肥満モデルSprague-Dawleyラット(n=40)を用いて、

次の5群に分けて検討が行われています。

 

・標準食

・高脂肪食HDF

HDF+乳酸菌(シロタ菌Lactobacillus casei strain Shirota

HDF+ビフィズス菌(Bifidobacterium longumビフィドバクテリウム・ロングム)

HDF+乳酸菌とビフィズス菌の組み合わせ

 

15週間の投与後、肥満及び内分泌代謝関連指標が測定されています。

解析の結果、まず、ビフィズス菌(B. longum)あるいはビフィズス菌と乳酸菌の組み合わせ(B. longum and LcS)では、 体重の有意な減少、中性脂肪の有意な低下が見出されました。

 

また、 菌種の比較では、ビフィズス菌B. longum投与群では、レプチン値、体脂肪量、脂肪細胞サイズ、リポプロテインリパーゼ遺伝子発現といった指標で好影響が見出されています。

また、アディポネクチン値の増加、PPARγ発現なども複数の組み合わせより好影響でした。

 

なお、 便中の総菌数、糖代謝指標、炎症マーカーについては、各群での有意差は認められていません。 以上のデータから、

 

高脂肪食負荷肥満モデルラットにおいて、ビフィズス菌(B. longum)および乳酸菌投与による肥満、脂質代謝改善作用が示唆されます。

今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。