セントジョーンズワートはパロキセチンよりも有用である [20160530()]

うつ病の薬で有名なパキシルよりもセントジョーンジュワートが有効であると聞くと、自殺企図の副作用もある薬よりは天然物質のほうがいいのではないかと思ってしまう。

 

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今月の臨床精神治療学の専門ジャーナルに、中等度のうつ病に対して、セントジョーンズワートとパロキセチンの効果を比較した臨床研究が、スイスのグループ(University of Zurich)から報告されていました。 (Int J Psychiatry Clin Pract. 2016 May 10:1-7) 軽症から中等度のうつ病に対しては、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、学名Hypericum perforatum)の有効性と安全性が知られています。 セントジョーンズワートは、SSRISNRIといった抗うつ薬と同等の効果があり、 かつ、副作用が少ないことが示されています。 そのため、欧米では、セントジョーンズワートがうつ状態に対して広く利用されています。 さて、今回の研究では、中等度のうつ病に対して、セントジョーンズワート製品(WS® 5570)と、SSRIのパロキセチンの作用が比較されました。 (WS® 5570は、ドイツで利用されている製品であり、セントジョーンズワート乾燥末を含んでいます。) 具体的には、二重盲検ランダム化比較試験として、うつ病と診断された患者(HAM-D総スコアが2225)を対象に、 ・セントジョーンズワート投与群(900mg、分3)、 ・パロキセチン(20mg/)2群について、6週間の投与が行われています。 解析の結果、うつ病の指標であるHAM-D総スコアは、SSRIのパロキセチン投与群よりも、 セントジョーンズワート(900mg)投与群のほうで、有意に減少(改善)が認められたということです。 パロキセチン投与群に比べて、セントジョーンズワート製品(WS® 5570)投与群の患者では、うつ病重症度の改善だけではなく、より大きな反応率および寛解率を示しています。