ビタミンDと大腸がんの関係やインフルエンザの予防効果は有名だが、癌全体の死亡率低下についての発表である。
免疫良性作用や抗がん作用があることは示されていたが、全体的ながん死亡率に対する良い作用もあるようである。
やはり癌患者さんのとるべきサプリメントはこうしたエビデンスの積み重ねがあるものを推奨されるべきだろう。
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がん研究の専門ジャーナルに、ビタミンDサプリメントとがん罹患率・がん死亡率との関連を検証したメタ解析が、米国のグループ(Harvard School of Public Health)から報告されていました。
(Br J Cancer. 2014 Aug 26;111(5):976-80.)

ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。また、各種の慢性疾患や生活習慣病では、ビタミンDが潜在的に欠乏している状態にあることも見出されており、健康保持・疾病予防の点から、ビタミンD3サプリメント(1日あたり1,000 IU~2,000 IU)の摂取が広く推奨されるようになりました。

さて、今回の研究では、ビタミンDサプリメントの利用と、がん罹患率・がん死亡率との関連について検証が行われました。
先行研究/観察研究では、ビタミンDの効果は、がん罹患率に対してよりも、がん死亡率に対してより顕著であることが示唆されています。

一方、ビタミンDサプリメントの投与試験/介入試験では、がん罹患率や死亡率を主エンドポイントとした検証は容易ではありません。
そこで、今回は、ビタミンDサプリメントのRCTから、がん罹患率と死亡率についてメタ解析が行われています。

ビタミンDサプリメントを2年から7年の間、投与したRCTでは、全がん罹患率では、影響は認められていません。
RCT4報、4,333例の解析で、
投与量は1日あたり400-1100 IU、
RR=1.00, 95%CI=0.94-1.06, I(2)=0%でした。

一方、全がん死亡率は、ビタミンDサプリメント投与によって、12%のリスク低下が見出されたということです。
RCT3報、1,190例の死亡、投与量は400-833 IU per day,RR=0.88, 95% CI=0.78-0.98, I(2)=0%でした。

以上のデータから、ビタミンDサプリメントの中長期投与による、がん死亡率の低下作用が示唆されます。

近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
一般に、健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、1日あたり
25マイクログラム (1,000 IU) から50マイクログラム (2,000 IU) です。

多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
米国での関連学会は、下記の推奨をしています。

米国老年医学会は、1日あたり4,000 IUを推奨
米国老年医学会(AGS)では、高齢者における転倒や骨折を予防するために、血中ビタミンD値(25OH-D)が30 ng/mL (75 nmol/L)は必要としています。

そして、ビタミンDの推奨量は、1日あたり4,000 IUとしています。
(これは、食事、サプリメント、日光暴露による総量です。なお、この量は、現実的には食事のみからでは不可能であるため、サプリメントを利用することになります。)

米国内分泌学会は、1日あたり1,500 IU~2,000 IUを推奨
米国内分泌学会のガイドラインでは、1日あたりの所要を男女とも年齢によって、次の3段階に分けています。
1歳未満の乳児は400~1,000 IU、
1歳~18歳では600~1,000 IU、
19歳以上では1,500 IU~2,000 IU
サプリメントでは、ビタミンD3が用いられます。

日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果が知られています。

また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000~2,000IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)

今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防や抗加齢を目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。

日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。

DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、という報告もあります。

マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。