慢性腎不全患者さんは多くがビタミンD不測であり、サプリメントの摂取によって改善されるというデータである。

************

http://www.dhcblog.com/kamohara/

今月の腎臓病学の専門ジャーナル(電子版)に、慢性腎臓病患者に対するビタミンD3の投与を行った臨床研究が報告されていました。(J Ren Nutr. 2013 Nov 8.)

ビタミンDは,骨の健康に重要な脂溶性ビタミンとして知られています。
疫学研究では,血中ビタミンD値が低いと,骨折や骨粗鬆症,がんや心臓病などを発症しやすいことが知られています。

最近の研究では,ビタミンDサプリメントによる抗がん作用や免疫調節作用,生活習慣病の予防や改善,インフルエンザ予防,男性更年期改善など多彩な働きが示されてきました。
そこで,サプリメント療法として,1日あたり800~2,000 IUのビタミンD投与が広く行われるようになりました。

近年、ビタミンDと慢性腎臓病との関係が報告されています。
例えば、末期腎疾患患者におけるビタミンDサプリメントの効果などです。
慢性腎臓病では、ビタミンD欠乏が高率に認められ、かつ、ビタミンD欠乏があると、腎機能が低下していることが知られています。

そこで、今回の研究では、人工透析は行っていない、慢性腎臓病(CKD)患者におけるビタミンDサプリメント投与の働きが検証されました。
具体的には、前向きオープンラベル試験として、非透析の慢性腎臓病患者(eGFR;10-59 mL/min per 1.73 m2)210名を対象に、血中ビタミンDを測定し、ビタミンD低値(<30 ng/mL)の被験者に
1日あたり1,000 IUのビタミンD3サプリメントを6ヶ月間投与しています。

アウトカムとして、3ヶ月、6ヶ月の時点でのビタミンD値、および腎機能関連指標が測定されました。
解析の結果、まず、
ステージ3の慢性腎臓病(CKD)患者の40.7%、
ステージ4のCKD患者の61.5%、
ステージ5のCKD患者の85.7%
がビタミンD欠乏症でした。
ビタミンD欠乏群では、
糖尿病の合併率が高く、腎機能が低下している(eGFRが低く、タンパク尿が高値)ことが見出されました。

ビタミンD3サプリメント投与によって、
3ヶ月の時点で、
52名の患者(76.5%)において、血中ビタミンD値(25(OH)D)が30 ng/mL以上となり、
6ヶ月の時点では
61名の患者(89.7%)が30 ng/mL以上となりました。

ビタミンDサプリメント投与に対して、投与前に血中ビタミンD値が低値である群、および
タンパク尿が高値である群では反応が低いことが見出されました。

以上のデータから、非透析のCKD患者ではビタミンD欠乏が高率であり、
ビタミンD低値と腎機能の低下が相関すること、ビタミンD3サプリメント投与によってほとんどの患者で血中ビタミンD値が回復することが示唆されます。

近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。

日本からの報告では、ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。

(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000~2,000IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)

今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。

DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、という報告もあります。

マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。