進行がん、特にすい臓がんに対するαリポ酸点滴について

実際にがん治療を行っていて、もっとも進行の早く治療に難渋するものにすい臓がんがある。そのすい臓がんの進行がんは5年生存率が低く、手術不能例では1年生存率が 約15%、3年生存率が 約2%程度といわれている。

また、診断された時点ですでに手遅れになっていることが多く手術不能といわれる患者さんが多いのも事実である。

こうしたすい臓がん、特に進行がんには抗がん剤もほぼ無力である。統合医療的にはこれらに対してもさまざまな治療が行われている。

完治するのは難しいかもしれないが、延命することのできる治療法がいくつかある。その中でも注目されているのはこのαリポ酸の点滴療法である。

αリポ酸の点滴はニューメキシコ州立大学臨床教授のBerton Berksonによって多くの症例報告がされている。

αリポ酸点滴療法でどのくらい延命するのだろうか?
今日は治療している限り永遠に延命するのではと思われる症例を紹介したいと思う。

 
2006年9月診断時
写真上(2006年9月)

panccaala
写真下(2007年2月)

ニューメキシコ州立大学臨床教授のBerton Berksonはαリポ酸の点滴が末期がんに有効であると発表している。αリポ酸とは強力な抗酸化物質であり、ビタミンCの働きを助け、活性酸素を除去する働きがあり注目されている

 NIH(National Institute of Health)のプロトコールによると投与方法はαリポ酸100-600mgの静脈投与であり、これを1日2回2週間投与する。3ヶ月から6ヶ月の間は経過観察するという方法である。それに低容量ナルトレキソンを毎日眠前に4.5mg内服する。今年の4月来日した際、Berksonはいくつかの症例を発表した。

(症例)患者さんは74歳の女性である。  2006年9月の時点でカリフォルニア大学メディカルセンターに通院していた。
 病理診断にて、腺癌の膵臓癌であることが判明しており肝臓に多発転移があった。
 彼女は「多くの友人が抗がん剤による化学療法後に亡くなった経験があるので自分は化学療法を拒否してきた」とBerkson医師にに告げた。
 また、大学病院の主治医からは「もう望みはない」」と告げられていた。

NIHのプロトコールにのっとり治療を行った。上記方法の治療5ヵ月後にPET検査で癌が消滅したことが確認されている。
その後4年が過ぎて現在も生存中である。

驚くことに、癌の症状はすべて消失している。

 Berksonによると治療を中断して再発や増悪することが多いのがすい臓がんの特徴のようである。この患者は治療を継続しており、指導された栄養剤の内服と生活習慣の変更を忠実に行っている。

現代医療では見放されたすい臓がんという悪性度の高い癌がこれだけ見事に寛解していることは注目に値するだろう。
また、食事療法や栄養療法を取り入れていることも統合医療的な考え方で日本のがん治療にはまったくない発想である。

しかし、食事や運動などの栄誉管理ストレス管理が癌の原因を少なくしたり、治療効果を上げることは当たり前であると思われる。